監査委員制度の変更

地方制度調査会での監査委員制度変更の議論がだんだん詰まってきたみたいです。時事通信によると以下の通り。

◎監査委員、議会選任に変更=25日会合で取りまとめへ−地制調小委
第29次地方制度調査会(首相の諮問機関)の専門小委員会は、25日に次回会合を開き、自治体の行政事務に対する監査委員の見直しについて取りまとめの議論に入る。これまでの論議で、執行部からの独立性を高めるため、監査委員は首長ではなく、議会が選任する方法に変更する方向性などが固まった。包括外部監査の見直しなどは意見集約に至らず、引き続き検討する事項として調整する見通しだ。
自治体業務の監査をめぐっては、北海道夕張市財政破綻(はたん)などを機に、監査委員や議会のチェック機能の充実が改めて指摘されるようになった。こうした情勢を踏まえながら進めている今回の見直し論議では、監査委員の独立性や委員構成、権限と責任などが主な論点となっている。
これまでの審議で方向性が大筋固まったものを見ると、現行は首長が委員を選任しているが、執行部からの独立性を強化する観点から議会が選任する方式に改める。これに伴い、議会代表として議員が監査委員を務める「議選委員」は廃止する。自治体職員だった人の選任を1人に限っている「OB制限」は、身内への甘さを危惧(きぐ)する見方が依然あり、引き続き維持する。
一方、監査の実効性を高めるため、委員が任務を十分果たせなかった場合、何らかの責任を課す仕組みを設けるべきかどうかも議論されたが、損害賠償などを課すのは困難として見送る方向。包括外部監査についても、義務付ける団体の拡大や対象業務の拡充といった課題は引き続き検討する必要があるとして結論は先送りする見通しだ。
25日の会合では、まだ議論が収れんされていない監査委員事務局の体制強化などについて議論を深め、全体的な取りまとめを目指す。
4月22日 官庁速報

前に議論になっていたと思われる行政委員会にするのかどうか,つまり監査委員を現行通り基本的には独任制にするのか,あるいは行政委員会として合議制にするのかという論点は今回ちょっと見当たりませんが,とりあえず監査委員を首長の選任ではなく地方議会の選任に変えるということのようです。記事にも書いてありますが,首長のエイジェントとして地方自治体を監視するよりは,首長から独立した議会のエイジェントとしてその役割を果たした方が独立性が強化されるだろうなぁ,という点自体はそうなのだろうと思います。この独立性に関する論点でひとつだけ留意すべき点があるとすれば,記事の最後に書いてある監査委員事務局の体制強化というところがあるとは思いますが。つまり,首長部局からローテーションで監査委員事務局にいった事務局員が,親元?の首長部局を批判するような監査(の提案)をできるかどうかというのは結構厳しい問題ではないかと。まあそうは言っても,現状のように新卒が試験を受けて役所に入るというスタイルのままでは地方議会専属のスタッフを強化すると言うことも難しいことも事実であるわけで,ここのところを考えないと(地方議会が例えば任期つきで人を採用する?)結局のところ監査委員が多少やる気になっても事務局が動かないおかげで監査の実効性がない,ということになってしまうおそれも強いのではないかと。
あとはやはりどうしても気になるのは,現行制度を所与としたときに,そもそも監査委員の選任母体であるところの地方議会が,監査を通じた歳出削減のようなものをやるインセンティブが本当にあるのか?というところ。以前のエントリでも書きましたが,現状であれば議会の方がイニシアティブをとって減税というかたちで住民サービスを行うことも難しいわけで,選ばれた議会が積極的に住民に答えようとすると,どうしても歳出増しかないというのは変わらないように思います。そういう歳出増を志向する地方議会がエージェントとして選ぶ監査委員に対して,自分たちのメリットをそぎ落とすような監査をさせるかどうかはちょっと怪しいのではないかと思うわけですが。いやまあそらこの厳しいご時勢の中で地方議会は住民のために節約するんだ!っていう理念が強いから問題ない,っていう主張をしたいのはわかるんですが,総論ではそうだからといって各論で自分が絡む歳出を積極的に削減しようとする人がいるとはとても思えないのですが…。ていうか議会できちんとできるんだったら,別に「独立性の強い監査委員制度」とかいう必要がなくて,議会の一部門として監査委員会を作ればいいじゃん,なんて思ってしまうわけですが。
[研究]監査の独立性