第47回会合(2008/5/16)

昨日は一次勧告をざっとみて,メディアの反応についての印象を書いてみたけど,やっぱり印象論をきれいに書くのは難しい。いい印象論って「なるほどなぁ」と思わせるんだろうけど,悪い印象論だとグタグタになってしまう。やっぱり僕にはベタな話でしかどうも書けないなぁ,と。
47回の会合は,久しぶりにヒアリングのない委員間討議。もう出てしまった一次勧告の案文について検討するというものでした。約1時間ということで討議時間はおそらくこれまでで一番短かったんじゃないかなぁと。まあ要するに,委員に対してというのも含めて,一次勧告の原案についてのお披露目のような性格を持つ会合だったように思われます。内容はまあ資料の通り,という感じなのですが,既に出されていた総論部分でのいくつかの変更と,二次勧告に向けた議論の仕込みのようなもの(第5章)の説明が行われています。46回でも議論されているように,出先機関にはかなり大きく手を入れることが企図されているのですが,「国の仕事は国がやる,地方の仕事は地方がやる」という現住所主義をとった一次分権改革の成果をどう扱うのかというのは注目ではないかと。
議論の中で時間が割かれていたのは,まず第3章で触れられている「補助対象資産の財産処分の弾力化」をどうやって実施していくかということ。若干技術的な点ではあるのですが,補助対象資産の財産処分の弾力化は別に法律がなくても各省庁の運用の問題で改善できるということで,この分権委が3年以内に作る「分権改革推進計画」に盛り込んで「新地方分権一括法」に載せるまでもなく内閣レベルで決定すればいいんじゃないか,という話。西尾代理はとりあえず補助対象資産の財産処分の弾力化を閣議決定するように勧告するのもいいのではないか,という提案をされていましたが,事務局側は総理が本部長を務める「地方分権改革推進本部」において本部決定されるから閣議決定は特に必要ないのでは,ということ。最近この「本部決定」って個人的に謎なのですが,どういう風に行われるんでしょうかね。「勧告」を「本部決定」するっていうのはよくわからないし,同じような機関であるところの行政改革推進本部をみると,「見直し等について」みたいなものを本部決定しているので,この場合は第3章部分だけ取り出して本部決定するっていうことなんだろうか。まあちょっと行政学的に(?)面白い話なのかもしれません。
あとは,露木委員のブログでも取り上げられていた猪瀬委員のシミュレーションの提案。整備局の事業について地方に移管するとどのくらい財源を移すことになるのか,ということをとりあえずマクロで試算してみよう,という話。それから都制と大都市制の話についてどう扱うのか,というかなりの難問が露木委員から出されていました。この場には西尾代理と小早川委員というまさにこの分野のすごい専門家がいらっしゃるので,やや説明のようになるのですが,「都(道府県)が市の機能を吸い上げるタイプ」である都制と「市が(都)道府県の機能を吸い取るタイプ」である政令指定都市制度の整理についてはなかなか難しい議論だなぁ,と。ここは価値判断の問題も入るわけですし。ただ分権委としては「総合行政主体である市町村」を中心とした組み立てにしたらどうか,という提案が小早川委員からもなされていました。そうするとどちらかというと後者のタイプが主ということになると考えられますが,以前の「中間的なとりまとめ」で大都市制度について触れていた部分でもその方向性はあったので,まあ基本的にはそういう流れなのかなぁと。そうすると都と23区の問題という地方制度調査会でいつも激論し,都区の会議でもまとまらないややこしい話とどっかで向き合わないといけないのかもしれません。分権委には都副知事もいるわけですが,この「東京問題」についてこれからどう扱うことになるか,というのはひとつの焦点かもしれません。