選挙と審議会

中川大臣が辞意表明。辞任は予算通過後ということなので,場合によっては予算通過後に後任を置かずに解散も,ということがあるのかもしれないが。しばしば言われるけど,もう総選挙は三年以上やってないわけで,前回総選挙後(特に小泉首相退任後)にできた審議会もかなりの数になる。分権委もそのひとつなわけで,特にこのように政治的に重要視される審議会は選挙の影響を大きく受けることが予想される。

◎第3次勧告ずれる可能性も=総選挙の日程次第で−丹羽分権委員長
政府の地方分権改革推進委員会丹羽宇一郎委員長は16日、全国知事会都道府県職員研修会で講演し、今春予定する第3次勧告について、「勧告直前に解散になったら、新しい政権に勧告することになる」と述べ、衆院解散・総選挙の日程次第で、提出時期がずれる可能性があるとの認識を示した。
丹羽委員長は「(自民、民主の)どちらが政権を取ろうと、来年の春には必ず分権改革一括法案が出る」とも話し、来年の通常国会に新地方分権一括法案などを諮るスケジュール自体に変更がないことを強調。「(第3次勧告は)少なくとも秋には出す」とした。
2月16日 時事通信

民主党になったらどうなるか,というのは非常に興味深い思考実験で,いろいろ仮説が立てられる。ふだん「分権が足りない」とか言ってることや,自民党の権力を分権によって削ぐことをねらうのであれば,大幅な分権を望むだろう。地方という新たな権力を作ってしまうある種のエイジェンシー・コストを払うことで,自民党が政権に返り咲いてもこれまでのような権力を発揮することを阻むというか。
しかし一方で,本当に民主党が分権を望むかは必ずしも定かではないと思われる。たまにいわれるように民主党が「大きな政府」を好むなら,理屈としては分権ではなく集権だ,というのはまあいいとしても,民主党自体そもそもいわゆる中央の政治エリートが集まって作っている党だし,政党としての集権制は自民党より高いのではないか。また,分権を進めると,自民党系の首長や議会が強くなって,民主党が選好する政策が難しくなることも予想される。つまり地方は単純なエイジェントではなく,中央と繋がっているわけだ。
この辺は,微妙に景気対策なんかで影響が出てくるかもしれない。凄く単純に,自民党が「小さな政府」・民主党が「大きな政府」の傾向を持つとしても(もはや自民党は「小さな政府」路線ではないのでしょうが),長期的に地方は民主党ではなく自民党景気対策に協力しやすく(地方を動かしにくい)民主党景気対策の実効性が落ちるかもしれない,という捩れが発生するかもしれない。逆に中央を握った民主党が自分たちに与する地方への配慮を強めることを通じて地方でも勢力を伸張するかもしれない。まあ要は読みにくい,という話ですが,それだけに分権委の扱いも難しくなるんだろうなぁ,と。