新型交付税

 総務省は25日、地方交付税の配分方式を改める新型交付税の試案を公表した。複雑でわかりにくいと指摘があった算定項目の数を、07年度から3割減らして簡素化。基準財政需要額約41兆円のうち、公債費を除いた1割程度が新型交付税として配分される。交付額は自治体によって最大10億円程度増減する見込みで、財政運営に支障がないよう経過措置を検討するとしている。

 試案では、道路や港湾整備を除く投資的経費にかかわる項目を廃止。都道府県で42から32、市町村は53から36に減らす。かわりに人口規模と土地の使い方を反映させた「新型」の基準を導入し、人口と面積を3対1の割合で計算して配分する。へき地や離島、基地所在地などには、地域振興費として新たな配分枠を設ける。
(9月25日朝日新聞

フォーミュラを簡素にすることはまったくもって賛成なのですが,この交付税は何に使うんだろう?

基準財政需要額約41兆円のうち、公債費を除いた1割程度が新型交付税として配分される。

ってよく意味がわからないんですが…。基準財政需要額交付税として配分?
何にせよ,今の不交付団体に交付税が行くって言う話じゃないんだろう。そもそも新型交付税にするときに,不交付団体を増やす,という政策目標?が掲げられていたらしいですが,不交付団体って交付税よりも「ヌエ」みたいな存在じゃないだろうか。中央政府が地方政府に対して同じように義務付けている「国の事務」(正確には今の法定受託事務は「地方の事務」なのでこの表現は誤りだけど)について,財源保障をする団体があったりしない団体があったりする,っていうのはどうもすっきりしない。それであれば,「地方共同税」みたいにして水平調整するほうがまだわかりやすい制度ではないかと。まあ個人的には単一国家という特徴がこれだけ強いのに連邦制みたいな制度にするのはどうも賛成する気になりませんが。

※追記(2006/9/26午前)
時事通信iJAMP配信の記事によると(なぜか9/26日現在総務省の発表資料にない),

 同省(注:総務省)によると、新型は(1)「国の基準付けがない、あるいは弱い行政分野」から導入(2)人口規模や土地の利用形態に行政コスト差を反映(3)離島、過疎など真に配慮が必要な自治体に対応する仕組みを確保(4)自治体の財政運営に支障が生じないよう制度を設計−を基本に検討。導入割合は地方全体の基準財政需要額(公債費を除く)約41兆円のうち約5兆円を見込んでいる。

ということなので,これは財源保障のためというよりは,「地方が自由に使える一般財源」(交付税自体そうなんでしょうが)としての性格をより強調するものと考えられるのではないかと。素直に考えるとそこは税源移転して…という気はしますが,単純にそうすると地方間格差が広がるから交付税で,という理屈が後ろにあるのかな,という感じでしょうか。ただ人口分のウェイトが大きいので,必ずしも水平的財政調整とも言えないということを考えると,やはり共同税のイメージ(地ならし?)なんでしょうか。