頑張る地方

まだ総務省のサイトにはアップされていないようですが,頑張る地方応援プログラムの概要が発表になったそうで。

総務省は19日、2007年度から実施する「頑張る地方応援プログラム」の概要を公表した。地方自治体が行財政改革や地場産品発掘、企業立地促進に向けたプロジェクトを策定。これに基づく取り組みで得られた成果を、農業産出額や事業所数といった指標で評価し、地方交付税を上乗せ配分する。 
12月19日 時事通信

全体としては3000億程度の交付税をこのプログラムに充てるらしい。で,気になる配分の方法はというと,大きく分けて二つ。

  • プロジェクトへの取組経費等支援(A)
  • 「頑張り」の成果を交付税の算定に反映(B)

まあたぶんBの方がわかりやすいわけですが,ここでは,「行政改革指標」「農業産出額」「製造品出荷額」「事業所数」「出生率」「転入者人口」「小売業年間商品販売額」「若年就業率」「ごみ処理量」といった成果指標を使って「頑張りの成果」を交付税に反映させることを狙う,というものらしい。「行政改革指標」ってなんやねん,というところはあるわけですが,それはまあ置いておいて,要するにこれは基準財政需要額の単位費用として使うっていうことなんだろうか*1。結局のところ,id:sunaharay:20061025:p1でちょっと書いていたような,「変化」を見るものではなく,水準を見るものが指標として使われることが多くなった(転入者人口とか除く)。そうすると,補正のかけ方にもよるとは思うけど,多くの場合都市部のほうが高い値を出してそうな指標を使っているところを見ると,結局多少都市部へのウェイトを上げましょうかね,という方向なののではないかなぁ,と。
Aのほうは,やや微妙。正直よくわかってないけれども,地方がいろいろな「プロジェクト」を公表して,それを総務省がウェブサイトに公表し(総務省がスクリーニングをかけるのかどうか,あるいはどうやってかけるのかは不明),そのプロジェクトについて対して交付税措置を行いつつ(内容不明),各省庁と連携を図って補助事業の優先採択について配慮する,というものらしい。いくつかの「プロジェクト」の例が示されていて,それは,「地域経営改革」「地場産品発掘・ブランド化」「少子化対策」「企業立地促進」「定住促進」「観光振興・交流」「まちなか再生」「若者自立支援」「安心・安全なまちづくり」「環境保全」,などとなっている。ソフト施策に対しての事業費補正ではないのか…?という疑問はやや残るけど,そのあたりはこれからを見ないとなんともいえないところ。ただ,具体的なプロジェクトをウェブサイトで公表して,その進捗・効果を公開していく,ということなら,それは結構画期的なことじゃないかと思いますが。
しかし,一方で「新型交付税」でフォーミュラの単純化といわれつつ,「頑張る地方」でフォーミュラを複雑にしろ,といわれるのは本当に大変だろうと思う。今回の案では,これまで大臣が言ってきた訳のわからないことどもがたくさん盛り込まれているし。どうせ長いことやらない上はいいんでしょうけど,実務的に起案した人たちは本当にキツイだろうなぁ…。

追記(12/20):Aのほうは特別交付税を使うらしい。なので少なくとも事業費補正的なものでは全くないと思われる。しかしこれは奨励的補助金みたいなもんではないかと…。

*1:算定に当たっては条件不利地など地域の状況に配慮,とあるのは補正をかけるということなのだろうか。