審議会

後輩?Kくんの審議会研究(と言っていいのだろうか…)の修論を読みながら,審議会と所轄官庁ってどういう関係にあるんだろう,とふと思う。ジャーナリスティックには,しばしば審議会は「役所の隠れ蓑」と言われて,官庁が自らの政策決定を正統化するために使う機関だという批判がなされる。一方で,最近の政治学の議論では,利益集団が自らの意思を実現するために競争的に利用する,いわば多元主義のアリーナであるとか,利益集団の中でも特によく組織されたものだけが利用できる公式の制度であるというような理解が表明されつつある。Kくんの修論もまあ後者の筋に当たるものなわけですが。
しかしそのときに官庁は利益集団に対して何らかの働きかけをする/できるのだろうか。単に利益集団に捕われてしまっているだけなのだろうか。というのは昨日ついに通ってしまったいわゆるホワエグを見ていると,厚生労働省が何らかのイニシアティブをとっているようにはあまり見えないから。結局のところ使用者側が(多数主義的に?)押し切って,今のところ政治学の最近の議論が示唆する結末に向かいつつあるように思われる。法律を用いて規制を行うべき厚生労働省が,偽装請負をやってる会社のトップが会長を務めるような利益団体に捕われてしまっているという泣きそうな話になっているのだろうか…。それとも,自らホワエグの導入を積極的に推し進めているのだろうか。まさか労働基準法が適用されない自分たち(公務員)には関係ないと思っているわけじゃないだろうけど,仮に労働時間規制がないところで残業代もでない,というのをまず厚生労働省から始めてみて,反対が全く出なければ公務員から順次拡大する…ということにしても納得できるんだろうか。

Advice and Consent: The Politics of Consultation in Japan

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