新駅中止

週末は学会。今月二回目の発表で,結局前の学会の共通論題から得たプレゼンのやり方についての教訓はほとんど生かせず。しかしちょっと新たな教訓が。…というのは僕,「コメントへのリプライ」が下手ですわ。一応前からうすうす感づいてはいたのですが…。まあ普通のコメントはいいんですが,いいコメントとか予想外のコメントをもらうと(あ,今回は前者ですよ)必要以上に慌てる傾向があるらしいっす。ある程度想定できる「いいコメント」をもらったときに,自分の研究からの問題意識とうまくマッチさせつつ前向きに答える手法を開発しなくては。
さて,ちょっと前から方向付けは定まっていたようですが,滋賀県の新幹線栗東新駅は流れることになったそうです。

◎新幹線新駅、中止が決定=協定は白紙に−滋賀
滋賀県栗東市東海道新幹線新駅問題について議論する新駅設置促進協議会の総会が28日、大津市内で開かれた。嘉田由紀子知事は、新駅建設の根拠となる各種協定が今月末で白紙に戻ることを報告。これにより、新駅の建設中止が正式に決定した。
同県や栗東など6市が4月にJR東海と締結した覚書では、10月末までに建設推進で合意しなければ、協定は白紙に戻ると定められている。
嘉田知事は席上、6市が負担した新駅建設費の精算方法など今後の方針も報告したが、国松正一栗東市長は「了としない」と、協定の白紙化に反対。協議会委員の県議らからも「協定終了後の具体策を持ち合わせていない」などと嘉田知事の姿勢を批判する声が相次ぎ、改めて推進派との溝の深さが浮き彫りになった。
10月27日 時事通信

ちょっと前に新幹線を作るための栗東市の地方債起債,これは「仮線路は市道拡張工事に必要」として,道路建設費名目で行ったものだということですが,これに対して住民側が「私企業のJR東海が所有することになる新駅のためであり,起債は違法(起債は地方財政法で公共事業に限定されるので)」と主張して,最終的に最高裁で起債の差止が確定していたこともあって,もう栗東市としてはどうしようもないところだったようですが。この件で興味深いのは,当初知事の公約に対して猛烈に反対していた県議会の反対が徐々に収束していって,基本的には県と栗東市の間での対立に移っていった,というところ。仮説的ではありますが,県議については嘉田知事政権がしばらく続きそうなことで(選挙に強く,支援する議員がかなり通った),反発する意思が次第に弱まっていったということが考えられます。しかし栗東市以外の関係各市について調整を進めていったということは,嘉田知事が単なる「もったいない」知事というわけでもないところを示しているような気はします。そういえば滋賀県はこの前琵琶湖水面の帰属問題も片付けることができたわけで,当初の「社会党支持の知事候補(!)」という衝撃から受ける印象とは違って,知事は目的を達成する戦略を立てて,着々と実効に移すタイプなのかもしれません。