諮問会議

まあ前々から言われていたわけですが,公式に?打ち出されるというのは珍しい。

◎「決定」から「議論」の場に=自民と協調へ−経済財政諮問会議
「諮問会議は戦略企画を議論する場」。経済財政諮問会議のかじ取り役である与謝野馨経済財政担当相は17日の記者会見でこう強調し、小泉政権以降、官邸主導の政策決定機関の役割を担ってきた諮問会議の位置付けを見直し、「決定の場」から「議論の場」へ変えていく考えを表明した。
小泉純一郎元首相はトップダウンで政策決定する場として諮問会議をフル活用し、郵政民営化など政権の重要政策の多くが諮問会議を舞台に決まった。その後の安倍、福田両政権では首相の指導力低下に比例して諮問会議の影響力も低下したが、会議の位置付けは変わらなかった。
財界代表者ら4人の民間議員の政策提言を発射台として政策の方向性を打ち出すスタイルも、福田政権まで継承された。これには与野党を問わず、「選挙の洗礼を受けていない民間議員が国の重要政策を決めるのはおかしい」との批判が根強い。(以下略)
時事通信 10月17日

竹中元内閣府特命担当大臣(経済財政担当)が担当を外れてから,諮問会議が改革のエンジンからアリーナへ,などといわれてきたわけですが,今回公式に「決定の場」から「議論の場」へ変えていくことが打ち出された,ということで。小泉政権であまりにも象徴的な意味づけを与えられたためにこんなことまで言わなければいけないのでしょうが,ここまで歴史に残りそうな諮問機関は1980年代の第二臨調以来ですかね。民主党は政権を取ったら諮問会議を廃止するとかいうよく意味のわからない公約を出していたそうですが,第二臨調にしても諮問会議にしても,結局のところ「トップダウン」を具現化する組織であるというだけだと思われるのですが,イギリス的な議院内閣制を標榜する民主党は「トップダウン」を否定したいということなのだろうか。うまくいくかどうかは別としてどうせ他の「トップダウン」の機関を作ることが予想されるわけで,諮問会議という箱だけを敵視する姿勢はいかにも最近の民主党らしいなぁ,とは思いますが。*1
まあ民主党はいいとして,とりあえずこれで「官邸主導」で描かれていた諮問会議と自民党政調会が政策決定をリードする「双頭の鷲」モデルは公式に否定されることになったと。まあちょっと前から諮問会議はエンジンじゃなくなったといわれてきたわけですが。これで「まあ皆さん月に一回くらい,お茶でも飲みながら大所高所から議論していただいて…」という有名な宮沢発言(引用は清水,p.243)が実現することになるんですかね。とはいえ,一方で自民党政調会のほうもここのところ存在感は強くない。ていうか,財政の話をしなくちゃいけないときに部会の積み上げという旧来の手法は有効性を発揮することができるのだろうか…税調だって弱くなってるし,そもそも他の部会に対して歳出削減を要求する機能なんて持ってないだろうし。ちょっと前なら「ここで市場の反応は…」ということで,国債金利を見ながら以前との比較もできただろうけど,今は先が全く見えなくて比較もクソもないのは残念。

官邸主導―小泉純一郎の革命

官邸主導―小泉純一郎の革命

*1:そういうの作らずに閣議だけでいったら立派なもんだと思いますが。