出先機関再編(国)

ちょっと前の県の話ではなく今回は分権委員会の話。この二回の会合はまだ確認していないので,そこでどんな議論がされているのかはよくわからないのですが,第二次勧告に出される出先機関の再編案?が新聞各紙に出ているようです。朝日新聞産経新聞日経新聞北海道新聞読売新聞など。これを読んでいる限りでは,どこの出先機関を再編するのかという論点については,整備局と農政局だけとされている読売新聞のほか,経済産業局や運輸局,地方厚生局なども含むまでのバリエーションがあり(朝日・産経・日経・北海道),特に北海道新聞が報じる再編幅は広いみたいです。また,どのように再編するのかについては,産経・北海道・読売が,企画部門と公共事業などの執行部門を分離すると書いてます。この分離については「公共事業執行部門」って書いてるんですが(北海道・読売),公共事業だけ分離するんですかねぇ…その必然性が僕にはいまいち理解できませんが。出先機関には公共事業以外にも執行事務はあるし,そもそも企画は中央でやってて出先は執行って話じゃなかったっけ?と。地方組織が大きくなりすぎるのがいや,ということなのかもしれませんが,逆に言うと工事のところだけ切り離して自律性を持つとそっちの方が問題じゃないかと思ったりするわけですが。まあこの話については,ちょっと固まったものが出てこないとよくわかりませんが,ただ内務省−府県体制のネガとしての各省−各出先機関から内閣?−総合出先機関という流れは,もう80年くらい断続的に主張されているわけで,今回の勧告がどういう結末になるのかは要観察((c)Mさん)なのではないかと。

日本広域行政の研究―理論・歴史・実態

日本広域行政の研究―理論・歴史・実態

しかし,今回はこういう表現をしているのは次に挙げる日経の記事だけだったように思いますが,この内容だと「当初の改革方針からは後退している」ことになるんですかねぇ。この手の分権関係の記事を読むとよく思うのですが,「国の責任でするべき」仕事というものを出先機関がしない場合にはどこがするんでしょうか?地方自治体がするということを単純に想定しているのでしょうが,そのときに「国の責任でするべき」仕事というのはないと思っているのかなぁ。まあそれは考え方としてありうると思いますが,そう考えるならきちんと分権の方向性として連邦制のようなものを目指しているとするべきじゃないかと…*1。一方でそんなことをいいながら他方で「自治体間の格差が…」とか言ってしまう新聞ってどういう編集方針なんだろうと思ってしまいますが,まあ編集方針なんてないんでしょうけど。

地方分権委の2次勧告概要、国の出先機関ほぼ存続
国の権限の地方移譲を議論する地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)が政府に提出する第2次勧告の概要が3日、判明した。地方整備局や地方農政局地方運輸局など国の6つの出先機関を統合し、新たに「地方振興局(仮称)」を設けることなどが柱。ただ業務の大半は新組織に残るほか、地方への権限移譲項目も少なく、出先機関の原則廃止を打ち出した当初の改革方針からは後退している。
分権委は第2次勧告を8日に麻生太郎首相に提出する。出先機関の見直し案では、国土交通省の地方整備局、地方運輸局北海道開発局経済産業省経済産業局農林水産省地方農政局環境省地方環境事務所の6機関を「地方振興局(仮称)」にまとめ、東北や関東など地方のブロックごとに置く。(07:01)
12月4日 日経新聞

*1:まあ実はなにげに国の責任でするべき仕事は自治体にやらせてそのためにルールで厳しく縛ればいいとか思ってるのかもしれませんがw