みどり税

最近はやはりいろいろなところで新税が導入されようとしているようで,今度は横浜市で「みどり税」が導入されるとか。これについては毎日新聞の記事が充実しています。どちらかというと中田市長に批判的な感じはしますが。
横浜市:市町村初、みどり税 来年度から5年間、市民税に年900円上乗せ
横浜市:みどり税可決 「苦渋の決断」で 賛成派も相次ぎ苦言−−市議会 /神奈川
記事によると,みどり税とは以下のとおり

横浜市が緑の保全の財源として来年度から5年間導入する新税。個人は年900円、法人は年間均等割額の9%(4500〜27万円)相当額を、市民税均等割に上乗せする。市民税非課税の個人には適用されず、赤字法人は当初2年間免除される。税収見通しは年24億円で、使途を明確にするため基金特別会計を設置する方針。相続で保有が困難になった樹林地の買い上げ事業(年10・3億円)などに充てられる。

要するに都道府県で導入している森林税の横浜市版ということですね。この手の住民税の超過課税を特定目的に使うタイプの税は市町村でははじめてということですが,横浜市は人口300万人を超えているほとんど「都道府県」みたいな政令指定都市なわけですから,逆になかったのは意外といえば意外。ただ,普通の都道府県では森林整備に使うのに対して,横浜市は森林面積がおそらく相対的に小さいわけで,その辺の税としての整合性をどう考えるかという問題があるのだろうと思います。ここでは「相続で保有が困難になった樹林地の買い上げ事業などに充てられる」とのことですが。
この税に対する批判としては,読売新聞の「みどり税条例」可決来年度から個人は市民税900円増という記事にあるように,どうやら「拙速」が問題とされているようです。しかし,なんだかんだ言っても議会の方は賛成しているわけで,我田引水かもしれませんが,この手の税について議会は容認する傾向が強いのではないかという自分の論文の議論はまだ大丈夫かなぁ,と。とはいえ,論文でも書いたように個人的にはこの手の税を増やすのには若干の問題もあると思います。それは,一度導入されたこの手の税が使途を限定された配分政策としての側面が強調されることで,既得権益化する可能性があるのではないか,ということですが。これを考えると,やはり今後の地方税の本命は住民にそれなりの負担を求めるタイプの課税−具体的には神奈川県の水源環境保全税(僕はこの論文で一からげに扱いましたが)や秋田の子育て税(導入されませんでしたが)ではないかと思うところですが…なかなか難しいだろうなぁ。

財政再建と税制改革 (財政研究 第 4巻)

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