山形県知事選挙

知事選挙で現知事が破れ,教育委員を務めた経験がある行政書士対立候補が勝利したというのは正直驚き。現職が苦戦しているという報道や噂話は聞いていたものの,知事が最も強いといわれる二期目で,県内市町村や議会の自民党からの支持を受けているのに最終的に二万票も差がつくというのは何があったのだろうか。
山形県ということで,ひとつはそこそこ革新系が強いというのはあるんだろう。斎藤知事の前任者である高橋和雄知事はもともと社会党を中心とする勢力に押されて知事になっている(最終的には自民党も相乗りするわけだが)。さらに今回は共産党が出していないことも大きい。そしてもうひとつは自民党系が議会で強いものの(2005年末で議員の55%程度が自民党所属),分裂しやすい傾向にあると考えられる。何より斎藤知事が4選を目指した高橋知事を破った前回選挙では,加藤紘一氏を始めとする一部の自民党系の国会議員・県会議員が民主党(県連)と一緒に斎藤氏を支持して当選させてるわけだし。さらに,山形県は他の県と比べてそもそも国会議員選挙があんまり安定していない。小選挙区制度になっているにもかかわらず,有力な保守系候補が「無所属新人」として出馬して現職を破ってしまうということもあるし(遠藤武彦→近藤鉄男),定数変更でひとつ選挙区が潰されたりしている(あおりを受けたのは近岡理一郎)。要するに,県連単位できちんとまとまっていくというよりも,国会議員が自分の選挙を何とか維持していくことが優先されていて,県連単位ではなく国会議員単位でまとまろうとする傾向があり,結果として他の地方部の県と比べてあんまりガシっとした組織選挙ができないのではないかと*1
そういうわけで,ニュースでは「麻生政権への不満」「民主党の支援」が強く出ているように見えるわけですが,これは本当にそうなのかなぁ,と。まあ二万票も差がついちゃった要因としてそれがないわけではないとは思いますが。しかし斎藤知事は現在地方分権改革推進委員会の専門委員。最後の方は(選挙で?)あんまり委員会に出ている様子はなかったけど,これからどうするんだろう。

*1:山形新聞によると,自民党でも岸宏一参議院議員は吉村氏側についたらしい。