地域主権戦略会議

分権委の後継機関とされる地域主権戦略会議の概要が徐々に明らかになってきているらしい。時事通信の記事から。

地域主権の行程表案など提示=戦略会議、14日に初会合−政府
鳩山内閣の下で新たな地方分権改革を進めるための新組織「地域主権戦略会議」(議長・鳩山由紀夫首相)が、14日に首相官邸で初会合を開く。会議では、同内閣が掲げる補助金の一括交付金化や出先機関の見直しなど、3年程度を見据えた改革の行程表案を示す予定。国が地方の業務を縛る「義務付け・枠付け」見直しなどを盛り込んだ地方分権改革推進計画案も提示する。
(中略)
戦略会議メンバーは、首相のほか原口一博総務相菅直人副総理兼国家戦略担当相、藤井裕久財務相平野博文官房長官仙谷由人行政刷新担当相に加え、上田清司埼玉県知事、北川正恭早大大学院教授、北橋健治北九州市長、小早川光郎東大大学院教授、神野直彦関西学院大教授、橋下徹大阪府知事、前田正子横浜市国際交流協会理事長(元横浜市助役)。分権委からは、義務付け・枠付け見直しに深く携わった小早川氏のみが参画している。
行程表案では、▽補助金の一括交付金化▽国の出先機関改革▽直轄事業負担金▽都道府県から市町村への事務権限移譲▽義務付け・枠付け見直し―などについて、いつごろまでにどこまで進めるかという大まかなスケジュールを示す予定。
(後略)

メンバーを見ると,分権委のときから継続して参加しているのは小早川先生のみ。パッと見た感じでは,小早川先生の他は地方よりの主張が強い研究者(北川教授・神野教授)と民主党よりの首長,という感じになっています。従来の自民党の審議会が研究者の主張・地方団体の代表などをいろいろなバランスをとって集めようとしていたのに比べて,ストレートに色が出やすいという意味では審議会(?)の性格が以前と異なっていることを表現しているのかもしれません。また,記事の省略した部分によれば恒常的な設置が想定されている「国と地方の協議の場」とは異なって,コチラの方は3−4年くらいと時期を切っていくとのこと。
工程表をみると,分権委でも扱った出先機関改革,直轄事業負担金,市町村への権限委譲,義務付け・枠付け見直しに加えて,民主党の年来の主張であるとされる「補助金の一括交付金化」が入り,しかもトップに位置づけられている模様。この文脈だけから判断すると,交付税の規模を維持(拡大?)しつつ,補助金への縛りを緩めていくというのが委員会の見通しかと思われます。たぶんこれは「事業仕分け」の判断と真正面からぶつかることも予想されるわけですが,さてどうなるか。ここのところは分権委でも議論されつつ,しかし結局のところ義務付け・枠付けの見直しは補助金の改革に必ずしも結びつかない,ということで流れたところであります。問題は「全国一律のサービス」をどの程度,どのように担保するか,ということになるわけですが,新政権でも早くも保育所運営費交付金一般財源化することを提案した総務大臣に対して,厚生労働大臣少子化担当大臣が「保育所の待機児童解消は国の務め」と反対する,という「三位一体改革と同じ議論」(時事通信)が生じている様子。もうこの議論も何年も続いているわけですから,そろそろ何らかの形での結論が求められるのかもしれません。その意味では一定の結論を出しやすいメンバー構成にしたということなのかも。