脱「脱ダム」

まあ当然と言えば当然のお話なんでしょうが。トップが替わり,相乗りもなくなった状況ではひとつの予想される帰結なわけで。相乗りはある面で政策の安定性をもたらしていたのはおそらく事実であって(というか博論で執筆中!),それがなくなった結果として政策が不安定になるのは,引き受けざるを得ないコストなのではないかと思いますが。まあ個人的には多少不安定であっても相乗りよりは…と思わないでもないですが,不安定の幅を考えると,やはり地方政府が自らの責任で実施すべき事業というのはある程度限定する必要があるんじゃないかなぁ,と思ったりするわけですが。

01年に「脱ダム宣言」を発表した田中康夫・前長野県知事が建設を中止した県営浅川ダム(長野市)について同県は、治水のみを目的とした「穴あきダム」を建設する方針を決めた。村井仁知事が近く正式表明する。国の手厚い補助金がついた公共事業をめぐる激しい対立の舞台だったダム計画の復活で、長野県の「脱ダム宣言」は事実上、撤回されることになる。

村井知事は昨夏の知事選で「国の補助金活用」を公約に掲げ、田中氏を破って初当選。ダムを造らない県の治水計画について、就任当初から「(計画を認可する)国土交通省はダムの代替案がないと指摘している」と批判していた。
(中略)
田中前知事は、ダムが環境に与える負荷と、補助金つき公共事業への地方の依存を問題視。「脱ダム宣言」で、県が計画していた11のダム事業のうち8カ所を中止した。中でも浅川ダムは、総事業費400億円のうち周辺道路など200億円分が終わり、中止された8カ所の中で最も工事が進んでいた。このため「脱ダム」の象徴的存在だった。

長野県、脱「脱ダム宣言」へ 田中前知事中止の計画復活
いやまああとはネタなのですが。僕は研究目的でたまにダム年鑑というなんだか訳のわからない資料を見てみたりするのですが(って今日たまたま見てたんですけど),実はこの浅川ダム,あるとき(2005年版以降)年鑑からスポッと消えちゃうんですよねぇ。他の中止された事業については,「中止になったダム事業」という項がちゃんとあるのですが,なぜか浅川ダムはそこにも載ってない。国交省が認めてない中止をもし他の都道府県がしていたとしたら,やっぱりそのダムも年鑑からスポッと消えちゃうのかなぁ,と思うとデータ使う実としてはかなりガクガクブルブルなのですが。だって,ダムって少なくともそれなりに大きいもので3000個以上,農業用とか小さいものを入れたら余裕で5000個以上あるんですもの…。あんまり有名じゃないところをいきなり一個抜かれたらこっちとしてはかなり辛いす。毎年度分3000個見るのは僕の目が…(まあ実際こんなことがあるので見ざるを得ないんですけど(泣))。