国民健康保険料

最近多いですが,時事通信の官庁速報の記事から。これは何というかいいニュース?

国保料、住民税基準から所得基準に=税制改正の影響避ける−東京23区
東京23区は、住民税をベースにしていた国民保険料の算定方法を、基礎控除後の総所得金額をベースにした方式に改める。税源移譲による住民税率の一本化などで国保料負担額が増すケースがあることなどを背景に、「同じ所得でありながら税制が変わるたびに影響が出るのはどうか」(区長会)と判断したため。13日の特別区長会で基準変更の方針を決める。
23区は、後期高齢者医療制度の開始など大幅な制度改革が行われる2008年度から影響額の試算を行い、システム変更を経て10年度の基準変更を目指す。住民税を国保料の算定基準とする自治体は全国でも少数だが、政令市など大都市が多い。23区の方針はこれらの都市にも影響を与えそうだ。

前から言ってましたが,やっぱり国保料の負担が増すことは多いらしく,記事によると特に年金受給者で前年度比2.1倍になることもあったそうです。しかしそれにしてもえらい増税ですな…。負担が上がるのは特に年収300万〜600万,と書いてあったので東京23区を例にして考えると(扶養を考えるとややこしいのでとりあえずパス),平成18年度の国民健康保険料は,住民税額×1.82(所得割)+33300(均等割)であるのに対して,平成19年度の場合は住民税額×1.24(所得割)+35100(均等割)となっている。
で,簡単にシミュレーションをしてみるとくっつけた図のようになっていて(追記:ここで使っている「収入金額」は,社会保険料控除を考えてないので,一般的な収入はこれに前年の社会保険料控除を載せて考えて下さい),結局のところ保険料の上限に届く550万ちょっと程度で両者が一致して,それ以前はほぼ一貫して現在の制度の方が高いという結果になっている。なおそんなに凝るつもりはないのですが,収入金額から給与金額を出すのは給与所得控除をラフに使い,定率減税額を一応考慮に入れてますが,均等割非課税額は考えてません。それにもちろん所得が低い人は他の人の扶養に入っていることも考えられるので,その場合は実際あんまり関係なくなってくるでしょう。で,定率減税額を考えないとすると450万くらいのところで逆転してます(つまりこの層は定率減税廃止だけだと負担がより増えていた)。まあ最初と最後をほぼ直線的に結んでみました,という点で,これまで住民税を使用していたことに起因する微妙な不公平(?)がなくなったとは言えなくもないが,それにしても収入が250万から400万くらいのところ(だから社会保険料控除を考えると300万弱から450万くらいでしょうか)でえらく上がってるのは間違いない。ただ残念ながら,どの辺で2.1倍になるのかはいまいちわからなかった。僕の計算が間違ってるか,あるいはなんか扶養とかが絡んで悲惨な話になるとそうなるのかもしれない(均等割額が比較的大きくて,所得割の率がそれほどでもないから倍にはなりにくいように思うけど)。

ちなみに記事では,住民税額を利用し始めた当初の話についてちょっと触れてる。

23区では、国保制度を始めた1959年度から住民税方式を導入。各世帯の所得を算定する必要がある所得方式よりも計算が単純なため、人口が多い都市で多く導入される傾向にある。厚生労働省によると、住民税方式を導入する自治体は今年4月現在で、東京23区のほか仙台市横浜市川崎市名古屋市、神戸市、広島市など16市町に過ぎない。

要するに世帯数が多いからってことなんでしょうかね…。ただ一人暮らしとか核家族が多いことを考えると,所得方式にしたって地方よりも捕捉しやすいように思えるのですが。あんまり意識したことないですけど,国保についても(健保と同じように)かなり世帯主義なんだ,ということが若干見えるような気がします。つーか,いま「あれ?(昔住んでたC市も住民税額が課税ベースだったのでは?)」と思って調べてみたのですが,なんと,C市は市民税額=(23区でいうところの住民税額−都民税額)が課税ベースでした(注:平成17年度)。税率だけ見て23区の方が安い!と思ってたのに,絶対こっちの方が負担軽かったやん…。