第13回会合(2007/7/19)

今週は,ちょっと突然の用事で微妙に予定が狂ってしまったのですが,そのおかげでやろうと思っていたことができなかったり,思わないことが意外とできたり,とまあなんかバタバタしているようなしていないような,で。地方分権改革推進委員会のウォッチは遅れた方なんですが。
その第13回会合は,国土交通省農林水産省からヒアリング。前者は都市計画・道路・河川について,校舎は農地・農業振興地について,ということなのですが,予定説明時間は国交省が40分に農水省が10分というどちらかというと国交省に比重が置かれた感じのヒアリングではなかったかと(結局両方とも延長するわけですが)。しかし話としては,終始一貫してほとんど頑なに「国の責任」を強調する両省に対して委員の方がどうも攻めあぐねる,というような感じの議論に終始していたような印象があります。要するに,両省としては,自分たちとしては可能な限りの地方分権は進めているが,国が責任を持つべき分野では補助金出先機関が当然に必要なわけで,それは分権があっても変わらない,ということですね。ただ責任といったときにどのくらいちゃんと責任をとることになるのか,というのはちょっと不明確。例えば農水省は食料自給率の目標45%で,そのために優良農地の確保といい続けるわけですが,じゃあその目的が達成できなかったときにどういう責任を取ってくれることになるんだろうか,というのは最後の方で委員にツッコまれたものの,「目標達成を目指す…ごにゃごにゃ」という感じになってしまうわけで。そういうのを聞いていると丹羽委員長が常に強調するように,Plan-Do-Check-Actionのサイクルというのが改めて重要だとは思うわけですが,それは分権委員会の中心的な議論とは違うしなぁ,と思うと若干厳しい。ホントはそっちの方をはっきりさせないと,どこまで分権できるか,っていう解は出てこないと思うんですけどね。
で,まあ今回は議論としては正直なところ個人的にはあんまり面白みを感じられなかったのですが,重要な議論としては,行政(というか政策)の「広域性」のようなものをどう考えるか,ということでしょうか。これまでは広域行政についてはより上位の機関が実施する,ということで,例えば複数の県に跨る政策なんかについては国がやる,という棲み分けだったわけです。具体的に問題になるのは道路とか河川なんかですが,不思議なことになぜか空港については県が中心になって整備しているようで,某県のようにどう考え立って空港いらんだろう,というところでも空港を作ろうとしたりするわけです。それに対する考え方としては,横尾委員の質問で出てきた「県間や市町村間の協議で広域的な問題に対応する」というやり方ではないかと思われます。すぐに国が…というのではなくて,もともと自前の部門を持っている各都道府県や各市町村が,お互いに協議して問題解決をすることができれば,確かにムダをなくすことができるようには思われます。ただし,それはもちろん簡単ではなくて,国土交通省の担当者が応えているように,地方自治体同士で協議をしようとしても開発志向が強いところが多いために,譲ってしまった方が一方的に損をする,ということは十分に考えられます。それが典型的に出てくるのが前出の空港かなぁ,と思うわけで。これって地方自治体間の水平的な財政調整の話にも少し通じるところがあって,地方自治体同士でうまく調整できるということを示すことができれば,中央のほうで強烈にコントロールをかける,というドグマに対する有効な対抗手段になると思うのですが,現実にはそれが難しいらしい,と。この前の三位一体の最後のときに見せたように地方が「小異を捨てて大同につく」ということができれば(いや,もちろんあれがホントに大同小異なのかは微妙でしょうが),分権改革における有力な地方側の対抗手段になるのになぁ,というのが今回の感想,ということでしょうか。