メタボリック

研究者の卵っていうやつは何とかどこかに就職するまで健康診断も受けることができない,ということで,この数年気になっていたのですが,今回思い立って人間ドックに行ってみました。保険が利かないのでちょっと高いわけですが(…いったいなんのための国保だ!),この辺まで自己責任が求められてしまう以上そういうコストも致し方ない,というところなのでしょうが。結果はまだちょい先ですが,とりあえずちょっと最近太り気味の傾向をお医者さん&看護師さんを通じて再確認することでやや凹むわけでOTZ。
てか,太り始めるのはあんまよくないわけですよ,当たり前ですが。

◎体重20キロ増で医療費2.5倍=肥満で家計も膨張−京大経済研
体重約64キロの標準体形の成人男性が約20キロ太ると、糖尿病の医療費が2.5倍になると推定されることが8日、京都大経済研究所の古川雅一研究員(医療経済学)らの調査結果で分かった。
メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)が増加する中で、古川研究員は「家計への視点も、ダイエットの動機付けにしてほしい」と話している。
研究グループは、国民健康・栄養調査などから約1万人のデータを利用。平均身長の成人(男約167センチ、女約154センチ)を基準に、体重の増減が病気の罹患(りかん)率や医療費(糖尿病と高血圧性疾患)に及ぼす影響などを経済学的に分析した。
(後略)
8月8日時事通信

太りすぎると肥満で家計も膨張(ってうまいこと言うな…)ということで,まあそれは辛い。もちろん保険財政も辛いわけですが,言うても3割負担なわけで,こちらとしても辛いのは間違いない。なので最近せっせと走ったりしてみているわけですが,なかなか体重は減らない…。体重があんまり増えなかった去年と比較して原因を考えると,奥さんが仕事を辞めたことによる幸せ太り(失礼!まだ新婚なんで許してください)が大きいようにも思うのですが,最近は気を遣ってくれてそんなにたくさんは食べないようになっているはずなのに。
とはいえ。考え方を少し変えると,実は小太りというのは微妙に悪くないかもしれません。まあこれって典型的にアクターの戦略的行動,というやつなので制度設計的な観点からは望ましくないですが。それが何かという前に,まず慶應の権丈先生によると,最近の厚労省の方針で(1)メタボの減少目標を達成できない保険者に対してペナルティを課す,(2)減少目標というのはメタボの人の減少率で判断する,という方向に向いているそうです。

慶應健保組合は、平成24年、すなわち今から5年後の2012年までに、?特定健康診査の実施率を70%に、?特定保健指導の実施率を45%に、そして?メタボリックシンドロームの該当者及び予備群を10%減少することを目標とすべきことが、国の参酌標準(まぁ、目標値と考えれば良し)とすべしと書かれている。そして(ここが大切なところであるが)もし、目標を達成できなかったら、慶應健保組合から、後期高齢者制度への後期高齢者支援金(拠出金のこと)に10%以内の範囲でペナルティを課すということらしい。
健康診査の実施率に応じてペナルティを課すことにより、保険者が被保険者に健康診査を受けさせるインセンティブを組み込むという話しは知ってはいた。しかしながら、メタボリックシンドロームの減少率に応じて保険者にペナルティを課すという話しは、恥ずかしながら、6月20日の健保理事会ではじめて知った。
健康帝国日本――ウソのようなホントウのはなし?

もちろんその後で権丈先生が言うように,「この制度が知れわたると、大学の中を見るからにでっかい人が歩いていたら,みんなが,彼のせいで慶應の健康保険料が高くなっているんだよなぁと思うようになるわけで、本当にそういうことが起こったり,その種の会話が冗談でも交わされるようになってよいのか?」という問題が起こりうるのでこれはどうかと。しかしここでちょっと戦略的に考えると,同じく指摘されているように「保険財政的には保健指導で85?のウェストになりそうな人に保健指導をすることが、実に効率的になってしまう」ということが起こりえます。てぇことは,このまま小太りを続けて軽くメタボリックをちょっと超えるくらいになってくると,大学の健保組合的には「保険財政的に教員として採用したくなる」特性を持てるんじゃないかなぁ,と思ったり…っていうのが戦略的行動,っていうしょうもない話ですが。
いやまあ冗談ですけど。太り気味だし,就職も決まんないし,ついでにあんまり暑いのでちょっとどうにかなりそうな気分ではありますが…。まあほっといてアメリカみたいに太り過ぎには罰金になるとしゃれなりませんけどね。