超過勤務

時事通信の記事より。

◎本省勤務者に新手当=超勤常態化の課長補佐以下に−国家公務員
人事院は23日、国家公務員(一般職)のうち東京・霞が関などの本省に勤務する課長補佐級以下の職員を対象に、新たな手当を2009年度から創設する方針を固めた。本省では深夜に及ぶ長時間の超過勤務が常態化。地方出先機関から本省への異動を嫌がる若手職員も増えている。このため、課長補佐級では基本俸給の9.4%を「本府省手当」として新たに支給することにした。06年度から実施している給与構造改革の一環として、今夏の給与勧告に盛り込む。
本省では政策立案のほか、国会議員の質問に対する答弁づくりなどで連日、仕事が深夜に及び、超勤時間が月200時間を超えることも珍しくない。特に資料作成などに従事する課長補佐級以下の職員ほど超勤時間が長いが、それに見合う超勤手当は支給されていないのが実態だ。こうした勤務実態の影響で、若手職員を中心に本省勤務を敬遠する傾向が強くなっており、各府省は人材確保に苦慮している。
新手当は、課長補佐級で基本俸給の9.4%、係長級で4.0%、係員級で2.0%をそれぞれ支給。これまで、課長補佐級に基本俸給の9.4%分を支給していた現行の特別調整手当額などは新手当に振り替える。係長級と係員の手当財源は、給与構造改革に伴う全体的な俸給水準の引き下げによって捻出(ねんしゅつ)する方針だ。

本府省に勤める若い公務員の方々がどれだけ残業してもそれに見合った残業代は出ない,ということは以前から問題点として指摘されてきたわけですが,最近はやはり人材確保面での問題がクローズアップされてきたということでしょうか。これまで?種を受けていた人たちのキャリア官僚離れということはしばしば指摘されていましたが,これは地方採用のいわゆるノンキャリアの公務員の人たちが超過勤務の厳しい本府省を敬遠するという話。確かに以前から地元に帰りたいという話を聞くことは少なくないわけで,本省勤務は割に合わないのでしょうけど,豊富な経験を持ち,案件の経緯を熟知しているノンキャリアの公務員がいないと実務自体が回らないと言うような指摘を踏まえると,これはやはり由々しき問題なのでしょう。優秀なノンキャリアの公務員の人びとは,地方採用のあと地元である種の「選抜」を受けて本府省に来ることになるわけですが,そこで優秀な人を「選抜」しようと思っても,選ばれた人が行きたくない,といってしまうとどうしようもないわけで。

日本の官僚人事システム

日本の官僚人事システム

しかし人件費の総額を増やすのが難しい中でどのくらい実質的な意味があるのかはやや疑問。記事を読む限りでは,補佐クラスは基本的に振り替えだけのようだし,特に重要だと考えられる係長級・係員級での上昇幅も限定的。他のところから持ってくることができればいいのですが,結局もらう残業代の名前が変わっただけ,というとある種の公務員版ホワイトカラーエグゼンプションなのかもしれませんが…。そうならないことを祈りたいところです。