道路

自分に男の子ができてから,周りの方々に,だいたい電車か車のどっちかを好きになるから,とは言われているものの,僕自身はどっちもそれほど好きではないのでどうなるんだろうと思うところ。最近,じゃあ自分は何が好きなんだろう,と考えていると,電車や車みたいにそれ自体が動くものよりも,鉄道や道路みたいなネットワークを考えることが好きなんだと気づいた気がする。まあ要するに地図が好きなんだろう,って話ですが。
たぶんそういうちょっと好きっていうのもあるけれども,道路について書かれた次の二冊は非常に興味深く読めた。両者に共通する特徴になっているのは,別に道路についての政策形成過程を直接的に論じたりするわけではなく,道路(について考えること)が純粋に好きっていう人達が,実際に道路を走ってみることを通じて生まれる「謎」についていろいろと議論しているというところ。しかしそこでの議論・説明は最終的に非常に一般的な議論にたどり着いており,読み物として書かれているものの,行政による道路事業というものを考えるにあたっても非常に勉強になる。まさにディテールについての知識を積み上げて,帰納的に一般性の高い議論をされているわけだから,研究者も見習うべきところではないかなと。

高速道路の謎 (扶桑社新書)

高速道路の謎 (扶桑社新書)

国道の謎 (祥伝社新書 160)

国道の謎 (祥伝社新書 160)

道路については地方分権改革推進委員会の議論の大きなテーマのひとつであり,そのときには直轄国道から地方への移管のリスト(地図で見ると第70回資料の配布資料2)が出てきて,まあ具体的にはよく知らないからそんなもんかなぁ,と思ってたわけですが,やっぱりネットワークをどうに考えるかというのは重要だし興味深い。必ずしも権限委譲の対象となる直轄国道ではないようですが,『国道の謎』を読んでいるとはじめの方で出てくる「港国道」のように*1,港湾をも含めたネットワークをどう考えるかという議論はこれからさらに重要になっていくと思われます。結局のところ,地方分権というのはこの「ネットワークについて誰が考えるか」について考えなおそうというメタ政策だということ。しかしこれについて合意を得るのはやはり難しい。

*1:奥さんに舞鶴の国道177号線を見に行こう,と言ったら変な目で見られてしまった…。