中公新書2021年7月

2021年7月の中公新書,4冊出版のうち3冊がたまたま同い年(1978年)の政治学者によるものになってました。いずれもいただきまして,どうもありがとうございます。

北海学園大学の山本健太郎先生が書かれたのは『政界再編-離合集散の30年から何を学ぶか』です。副題の通りで政治改革と絡みあいながら発生した「政界再編」の30年について丁寧に記述・整理したものです。前著で行った政党間移動についての研究を踏まえて,その後の二度の政権交代を含めて分析し,将来の展望――主に野党の――が示されていきます。一応知っているはずのことが多いわけですが,改めてこういうかたちで読ませてもらいますと,自分自身も順番や流れをずいぶん混乱して記憶しているなあと思います。出てくるメンツが微妙に変わりつつ,こうやって30年経つことになったんだ,というのは,何と言いますか僕なんかでも微妙に感慨があるところです。

個人的に一番興味深く読んだのは「第三極」の扱いです。本書の中では,2005/2009年と2012年でその後の野党が一定の凝集性を維持できたかどうかの違いを説明する要因のひとつに第三極を持ってくるのはなるほどそうだなあ,と思いました。まあ第二党の凝集性が低くなってるから第三極が出てくる,という内生性もあるわけですが,第三極として参入する閾が低すぎることが野党にとって分裂・不利を招くというのは説得的な議論だと思います。

このような感じでの30年にわたる通史というと北岡先生の『自民党』を思い出すわけですが,あれは基本的に派閥間の抗争と離合集散を書いたものですが,この30年となると派閥がほとんど出てこなくて政党間の離合集散が中心になるというのは大きな変化だと思います。他方で,政治改革・安保・消費税というのはあんまり変わらないテーマでもあって,そちらの方の変化がどうなるんだろうか,と思うところはあります。そうこう言ってるうちにわれわれも40代半ばに差し掛かりつつありますが…。 

 千々和泰明先生からは,『戦争はいかに終結したか』を頂きました。本書では,戦争の根本的な原因を解決するということと,戦争を継続することによって生じる現在の犠牲のジレンマという観点から,第一次世界大戦以降の戦争終結について論じるものです。初めの方は全面戦争・総力戦について扱っているのですが,特に勝ちそうな国の方でこのジレンマの存在は特にビビッドになるのだという印象を受けました。負けそうな側から言えば,とにかくファイティングポーズをとって現在の犠牲を大きくさせる(=根本的な解決を防ぐ)ということが重要になりそうですが,そうすると今度は人々の不満が大きくなって体制転換されるリスクが大きくなる,といったような別のジレンマも出てくるのかもしれません。

後半は朝鮮戦争以降の局地的な紛争が扱われていますが,いずれもアメリカがらみの話ということもあって,観衆費用の話を思い出しました。単純に言えばやるからには戦果を挙げないといけないし,そのための犠牲が大きすぎてもいけない,という感じだと思いますが,そこに解決しないといけない根本的な原因の存在というのをうまく組み込めると面白いのかな,と(素人考えですが)。それはともかくここでも扱われているアフガニスタン情勢がまさに米軍の撤退によって急変しているわけで,それが何を示すのかを考える上で本書の議論はとても示唆的だと思います。

千々和先生は同じタイミングで『安全保障と防衛力の戦後史1971-2010』というご著書も出版されていて,こちらは日本における「基盤的防衛力構想」とその変化について触れたものになっています(必ずしも同じ内容じゃないのに同時期の校正っていうのはホントに大変だったと思いますが…)。こちらはアメリカのような根本的解決と現在の犠牲のジレンマを主体的に考える超大国でもない日本が何をどのように守ろうとするのか,ということを考えるところで新書の議論ともつながってくるのかと思いました。こちらのご著書では基本的に同盟政策みたいな議論と距離を取りながら防衛政策の話を論じておられるように思いますが,個人的な感想としては,この構想と日本の(特殊な?)個別的自衛権の考え方みたいなもののリンクがあるような気がして興味深かったです。

佐橋亮先生は『米中対立』を書かれています。本書では,アメリカが中国に対して政治改革・市場化・国際社会への貢献,という三つの期待を持って関与し,「育てて」きたこと,そしてそれが失われていく中で,国内アクターが絡み合いながら関与の見直しが行われていく,ということを叙述しています。「三つの期待」とその喪失についての検証もさることながら,ナマモノの今後の戦略についても含意を出さないといけないというのは本当に難しい話だったかと思います。本当に情報量が多いのですが,あとがきによれば2020年の夏に企画を持ち込んで書かれたというの読んでさらに驚きました。

アメリカの観点からみた中国という感じで,個々の論点が誰のどういう主張と結びついているのかということが丁寧に説明されていて,専門外ではありますが,興味深く読むことができました。各章(5章以外?)の最後に台湾への言及をされていて,以前に単著を書かれているように,もちろんご専門でということもあるとは思いますが,米中関係を考えるときの台湾の戦略的重要性と,その難しい立ち位置を示しているということかと思います。緊張状態にあるというだけではなく,アメリカにとって台湾が「期待をかなえた中国」みたいになっているところも難しさの一因なのかなあ,と思いました。

基本的にはアメリカからの視点で書かれているわけでが,個人的には中国の少子化というのがどのくらい効いているんだろうか,とも思いました。中国がこの勢いでアメリカをサクッと越えていくならわざわざ緊張状態を作る必要もないような気がしますが,敢えていま周辺国にちょっかいを出したりするのは近い将来少子化による困難がある/アメリカのように移民が来るわけではなくて現状で送り出し国である,というところがあるのかな,と。まあ中国のほうは権威主義体制で,何を考えているのか議論するのはなかなか難しいところですが…。

 ついでにもう一冊,『中先代の乱』も面白かったです(同一月に出版されたタイトルを全部揃えたのは自分が『大阪』書いた時以来かもw)。『逃げ上手の若君』とセットで子どもに読ませることを画策していて,今読んでるんですが読み切れるかどうか…自分自身『若君』も面白がって読んでおりますので,こちらもとても興味深く読みました。まあ「あとがき」から予想されるほどには北条時行の活躍は出てこなかったような気がしますが,マンガ読んでいる人たちの想像の空白を埋めるような内容にもなっているんだろうな,と。 

 

 

教科書/入門書

同僚の興津先生と東京大学の宍戸先生から『法学入門』を頂きました。ありがとうございます。ずっと入門しようと思いつつ20年くらい入門してないのですが,この本は基本的なところから新しい展開まで幅広く扱われていてとても興味深く読みました。自分が学生の時にこういう本から読んでたらもう少し違ったかもしれない,と思うところも…*1。特に好みのところは,法学の説明するときに裁判/手続法から始めて,民法,刑法,憲法と続いていくところです。たぶん高校なんかでは憲法から始めるようなノリが強いと思うんですが,こっちの方がわかりやすいんじゃないかと。実は数年前にある高校の教科書を書く企画に参加して,結果的にボツになったんですが,同じように民法・商法的な話から始めて,公法,憲法は最後,というような展開で書いておりました。法律というと立法の法が大事,という感覚が強い気がするんですが,私的自治を中心にする方が受け入れられやすいと思うんですよね。素人考えですが。

明治大学の牛山先生に『自治・分権と地域行政』をいただきました。自治体の連携や再編,広報・広聴やコミュニティなどについて従来の教科書よりもかなり厚めに書かれているように感じました。前に紹介した野田遊先生の教科書もそうですが,地方自治関係の教科書の内容が刷新されつつある時期なのかもしれません。自分自身も最近そのあたりに関心を持ち研究をしているところがあるのでいろいろ比べながら読むと勉強になるように思います。 

 大阪国際大学の湯浅孝康先生と青森中央学院大学の山谷清秀先生から『地域を支えるエッセンシャル・ワーク』を頂きました。ありがとうございます。新型コロナウイルス感染症の拡大の中で改めて注目されたエッセンシャル・ワーカー,地方自治体の現場では現業職員ということになりますが,この職員の皆さんに注目した書籍です。具体的には看護師,保健師男女共同参画センター相談員,清掃職員,給食調理員,保育士といった仕事についての現状の検討と分析が行われています。やはり地方自治に関わる多くの読者を想定した教科書に近いような本だと思いますが,従来十分に扱われてこなかったものの非常に重要なテーマであり,新しい研究へのヒントが多く含まれているように思います。

 著者が重なるところがありますが,山谷清志先生から『これからの公共政策学2 政策と行政』を頂いておりました。ありがとうございます。こちらは行政責任・統制・評価といったところに焦点を置いて書かれている教科書です。日本の行政の現場を意識しながら「行政の責任」を考えようとしているところに特徴があるのではないかと思います。個人的には(指導している大学院生のテーマでもあって)汚職についてまとめられた章があったのが良かったです(湯浅先生)。汚職って非常に重要なテーマなのに,どちらかといえばジャーナリスティックな扱いを受けていて,日本の行政学ではあまりシステマティックに触れられていないと思うんですよね。日本での行政責任との関係で汚職について扱われる新しい取り組みだと思いました。

 東京都立大学の大杉覚先生から『コミュニティ自治の未来図』を頂きました。ありがとうございます。コミュニティを軸に担い手不足や情報など新しい問題を扱った地方自治論で,しかもおそらく従来避けがちだったコミュニティの財政責任について言及されているのを興味深く読ませていただきました。本書で触れられているマルチスケール/リスケーリングというテーマは個人的にも関心をもって研究を進めているところなので勉強になります。このように並べてみると,最近出ている地方自治関係の教科書は,制度よりも住民との接点に力点を置いたものが多いように感じられるところです。地方自治に対する見方も変わっているということかもしれません。

 

*1:でも今ちょっと調べたら自分が20年前に無理とほおり投げてしまった『法学入門』が非常に情熱的で優れた入門書であるという評価があるみたいなので,単におっさん年食った人間の評価なのかもしれません。すみません。

比較政治

昨秋のオンライン講義の用意のために大幅に予定が遅れてご迷惑をおかけしてしまった仕事がようやく落ち着き,気持ち的には平穏が戻ってきた今日この頃。しかしなんとなくやってしまった学会事務局×2と学部の教務責任者の仕事はなんか断続的に入ってくるわけで,これがあと1年半以上続くかと思うとなんかもうギブアップ状態。ていうかたぶん十分な貢献ができてなくて本当にすみません。

この間比較政治関係の文献もいろいろ頂いていたのでまとめてご紹介します。まずは北九州市立大学の中井遼先生から『欧米の排外主義とナショナリズム』を頂いてました。ありがとうございます。まず本書ではしばしば「近代化の敗者」仮説と呼ばれる,経済的に苦境に陥った人たちが移民に対して敵対意識を抱いて極右政党を支持するんだ,という仮説が実際のところ説明力が低いことを様々な形で示されています。そうではなくて,伝統を重視するとか自国文化が破壊されることへの恐れなどが極右政党につながっていると。中井さんの本は,以前のものもそうですが,非常に説明がクリアでかつ読み手に配慮したかたちで図表などのプレゼンテーションもされていて見習うところが非常に多いです。

基本的には,ヨーロッパでの社会調査(European Social Survery)を利用しながら分析しているのですが,その中でデータから「新興ポピュリスト勢力に排外ナショナリズムが一本化される」「既存ナショナリスト勢力が機会主義的に排外主義を利用する」「穏健右派勢力が競争構造内で極端化する」というパターンを見出し,それぞれを代表する国で追加的な調査をして移民に対する検証をしてるのはホントにすごいなと。個人的には,この最後のパターン(本で取り上げられているのはポーランド,あとはUKとか)に非常に興味があって,日本もそれに近いところがあるんじゃないかなという感じで研究をしているところもあります。しかし,こうやって比較で並べて見せてもらうと,やはりその違いというのは際立つなあ,と感じます。 

成蹊大学の西山隆行先生からは『<犯罪大国アメリカ>のいま』を頂きました。ありがとうございます。大学での業務もお忙しい中,この数年でアメリカの移民や政治に関するご著書などを立て続けに刊行されていて本当にすごいです。この本は,アメリカの犯罪について扱っているものですが,銃規制・麻薬・不法移民など犯罪そのものに目を向けている一方で,警察行政・治安維持行政の本としても読めるというところが非常に興味深いと思います。日本の行政学では実のところこの分野についての研究書ってほとんど出ていないと思いますが*1,多くの国において治安維持に関する行政は非常に重要な関心事項になっているわけで,日本の治安維持行政――パンデミック対応も入ってくるように思います――を考えるときにもひとつのとっかかりになるご研究ではないかと思います。

藤武先生,野田省吾先生,近藤康史先生から『ヨーロッパ・デモクラシーの論点』を頂きました。ありがとうございます。近年の研究成果を踏まえたヨーロッパ政治についての最新の教科書・解説書です。ヨーロッパの比較政治というと,さまざまな特徴がある国ごとの分析・解説するものが多いと思いますが,本書ではアクター(極右勢力・新しい左翼・保守主義勢力・社民勢力とそのクリーヴィッジ)とテーマ(官僚制・司法・ユーロ・地域主義・社会的投資・移民・国境管理)で章が分けられていて,アクターやテーマごとにそれぞれの国の特徴について触れられていて,「比較」をより意識したような作りになっていると感じました。

 著者の先生方から,『政府間関係の多国間比較』を頂きました。ありがとうございます。ご執筆のメンバーを見ても『地方分権の国際比較』の続編というような位置づけになるのかと思います。この共同研究では,中間団体――広域自治体という言われ方もすると思いますが――である州(連邦国家)や県(単一国家)への権限移譲に注目したものになっています。日本でもコロナウイルス感染症への対応で知事が前面に出ているように,どこでもこの中間団体の役割が大きくなっている傾向がある中で,従来の連邦国家/単一国家という認識の枠組みの相対化が示唆されているということだと思います。 

 『文部科学省』が好評の青木栄一先生から,監訳に当たられた『アメリカ教育例外主義の終焉』を頂きました。ありがとうございます。特にアメリカで他の政策領域から独立していると考えられていた教育政策が,大統領や知事,議会,そして裁判所などの政治アクターとの関係の中で一般的な政治の中に再統合されていくという制度の変化について論じられているものです。このような実証研究はなかなか翻訳がされなくなっているわけですが,青木先生をはじめ教育の政治学に関心を持つ人たちによって重要な書籍が訳されることで,この分野に関心を持つ大学院生や学部生にとっても非常に重要な学ぶきっかけになるのではないかと思います。 

*1:しばしば引用されるのは第一線職員の一分野として警察が取り上げられる畠山弘文,1989,『官僚制支配の日常構造』三一書房でしょうか。これももう30年前の本なわけですが。

政治参加

何の因果かほんのちょっとだけ政治参加について文章を書かなくてはいけなかったのですが,たまたま最近頂いていた本がすごく勉強になりました。東京大学の境家史郎先生から頂いておりました『政治参加論』は,現在熊本県知事をされている蒲島先生が1980年代に書かれた名著『政治参加』の改訂版ということですが,近年の研究とデータを踏まえた全く新しいものになっています。前半では政治参加の理論についてのレビューが行われ,後半では最近までのデータを使って日本を対象とした実証分析が行われています。

境家先生は,『憲法と世論』でもそうですが,長期にわたって蓄積されてきたデータを使って非常に説得的な解釈を提示していかれているように思います。第二次世界大戦後,いわゆる55年体制のもとでは「政治参加の社会的平等」が強い,つまり他の国では政治参加から疎外されがちな低所得・低学歴層が大量に動員されながら投票参加をするという特徴があった日本の政治参加が*1,ポスト55年体制の時代には他の国と同じように高所得・高学歴層が参加する傾向が強く,その選好が政治システムに入力されがちとなっていることが示されます。それによって社会的不平等が広がり,さらに低所得・低学歴層が阻害されていく…という悪循環は極めて重要な課題です。

自分の関心があったのが投票外参加で,本書では「抗議活動」とされているようなところだったのですが,欧米の先行研究を踏まえながらこちらについてもきちんと議論がなされています。重要なのは,欧米では政治参加を行う傾向がある高所得・高学歴層がデモなど投票外参加についても積極的に参加している傾向がある一方で,日本の場合は投票外参加の水準が非常に低いという新しいタイプの違いが示されているところでしょう。じゃあもし(高所得・高学歴層中心に)そこでの参加が増えていったらどのようになるのか,というのはなかなか難しいところでしょうが。 

政治参加論

政治参加論

 

 森本哲郎先生・辻陽先生・堤英敬先生・白崎護先生からは『現代日本政治の展開』を頂いておりました。ありがとうございます。以前出版された『現代日本の政治-持続と変化』をヴァージョンアップさせたものということです。この間5年ではありますが,この5年で何か非常に大きく政治の風景が変わり,コロナウイルス感染症の感染拡大でそれがさらに推し進められているような気がします。

白崎先生の書かれた投票外参加と社会運動論の境界面に当たるような政治運動の論考が勉強になりました(投票行動の理論も)。政治参加と社会運動論ってすごく近いけども研究的にはやや距離があるような印象もありましたが,この章では両方に目配りしながら丁寧に研究状況をまとめられていたと思います。ソーシャルメディアがどのような役割を果たすのか,といった新しい分野についてもまとめられていて,これまでの研究を総攬するのによいのではないでしょうか。個人的にはDemocratic Innovationと呼ばれるような,ミニパブリクスや住民投票など,特に地方で新しく導入される制度に関心があるので,そのような制度につながる流れが理解できるというのはありがたいところでした。

 もう一冊,Amazonでは出ていないのですが,今井一先生から『住民投票の総て 第2版』を頂いておりました。ありがとうございます。第1版は2020年に発売されてましたが早々に印刷分が売れ,2020年の大阪都構想住民投票を踏まえた内容のアップデートがあったということです。本書では国内外の住民投票事例の豊富な紹介のみならず,巻末には非常に充実した国内での住民投票に関するデータが付けられています。このような本が出版されるのは,研究上の貢献も非常に大きく,私自身も年末くらいに予定している書籍の執筆で,一部本書のデータを利用させて頂いています。住民投票研究には必須の一冊,かと。

 

*1:それが他の制度と相まって自民党長期政権を作った,ということにもなるわけですが。

地方自治・日本政治

バタバタしているうちに年度末が終わり,新年度には大学で管理職の末端を担うことになりました。正直不慣れで向いてませんが,最近は執行部会とか理事会みたいなのばっかりやってます(マンション理事会では大規模修繕やってます!)。他方で書かないといけないものもたくさんあるのですが細切れ時間では難しく…頂いたもののご紹介を。とりあえず地方自治・日本政治みたいなカテゴリーで,近いうちに比較政治も。

ニッセイ基礎研の三原岳先生から,は『地域医療は再生するか』を頂きました。ありがとうございます。特に医療供給の制度について検討しながら,地域医療を中心とした改革の可能性について議論されている本です。日本の医療制度の最も難しいところのひとつは政府から自律性を持った民間病院中心の医療供給であるということで,このコントロールが難しいわけです。常々ベッド数が過剰だと言われているにもかかわらず,今回のコロナ禍の中ですぐに医療崩壊だと言われることの背景には,この本で描かれているような 「なんちゃって急性期」のコントロールが難しいということがあるようにも思います。

医療供給体制にはいろいろ問題がある,地域医療は重要だ,ということで改革は主張される一方で,実際やり方を変える民間病院を説得することは難しい,ということで,「総論賛成各論反対」になるわけです。そのときは,長期的なゴールを設定しながら,制度に影響を配慮して順番を考えながら漸進的に進めるという非常に狭い道を通るしかないのだろうという感じがあります。実際そういうことができるリーダーがいるかというとまあ難しい,というのが現状なのでしょうが。ただ,本書で議論されているような道筋(狭いとしても)はあるわけで,将来の改革を見据えてまさにコロナ禍の中でこそ改めて広く読まれるべき本だと思いました。ちなみに,今年度の公共政策学会・共通論題ではそのあたりの話も視野に入れて三原先生にお話いただく予定です! 

地域医療は再生するか~コロナ禍における提供体制改革~
 

 同志社大学の野田遊先生には『自治のどこに問題があるのか』を頂きました。ありがとうございます。野田先生は,日本で教育を受けた行政学者でたぶん最も精力的に英語で論文発表をされてる方だと思いますが,その野田先生が,おひとりで書かれる教科書を出版されるということで楽しみにしておりました。内容は,野田先生のご研究を活かされた,主張のある教科書という印象を受けました。

特徴としては,ご研究ともかかわる6章から10章だと思います。市民ニーズと参加,決定と実施,評価と広報,協働,広域連携,といったテーマで,いずれも野田先生が以前何らかの論文を書かれているところと重なっているように思います。日本で自治体行政の話となると,どうしても選挙の話とか中央地方関係とか,自治体内部の話を長々と書くことが多いと思います。しかし本書では,それよりも市民との接点について多くの紙幅が割かれていて,なんというかより「現代的」という印象を持ちました。僕自身も行政学の授業で地方自治について二単位分話しているのですが,昨年度オンライン授業で内容を一新したときになるべくそのようにしようと思ったところがありまして,今後の授業でもぜひ参考にしていきたいと思います。 

自治のどこに問題があるのか (シリーズ政治の現在)

自治のどこに問題があるのか (シリーズ政治の現在)

  • 作者:野田遊
  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: 単行本
 

 ちょっと前に頂いていたのをご紹介を忘れていたのですが,新潟大学の南島和久先生が『政策評価行政学』を出版されていました。博士論文に加筆されたものということですが,評価に関わる制度について,アメリカの制度を参照しながら南島先生もかかわられている日本の制度について検討されています。個人的には,特に業績評価やそれに関連する人事・組織の問題が興味を引くところです。制度の導入と運用がある程度行われており,他方で中央・地方の政府でEBPMがいろいろ言われるようになる中で,業績測定・評価とその反映の実態についても考えてみたいと思うところです。 

 同じ「ガバナンスと評価」のシリーズの『自治体評価における実用重視評価の可能性』を池田葉月先生から頂きました。ありがとうございます。こちらも博士論文をもとにした書籍ということで,実は上で書いた「業績測定・評価とその反映の実態」について日本の地方自治体を中心に調査して分析したものになってます。博論ですが,実用重視評価を議論していることもあって,いろんな自治体の実践について紙幅が割かれています。内部で完結させるかたちで手探りで評価をしている,という組織は少なくないと思うのですが(大学もそういうとこあるかもしれませんね…),他でどういうことやってるんだろう,ということを知る手がかりになるようにも思います。 

 執筆者の井上正也先生・高安健将先生・白鳥潤一郎先生から『平成の宰相たち』をいただきました。ありがとうございます。タイトルどおりですが,平成時代に首相になった,宇野宗佑以来の首相について,基本的には個人個人*1の政権について叙述するスタイルで,『戦後日本の宰相たち』に続くものとして出版されています。『戦後日本の宰相たち』の編者だった渡邉昭夫先生がはしがきを書かれていて,そこで「この30年は,あらゆる意味で流動的な時代であった」とあるように,まさに「流動的な時代」についてリーダーを中心に見ていく企画,ということになると思います。

平成の宰相たち:指導者一六人の肖像

平成の宰相たち:指導者一六人の肖像

  • 発売日: 2021/04/09
  • メディア: 単行本
 
戦後日本の宰相たち (中公文庫)

戦後日本の宰相たち (中公文庫)

  • 作者:渡辺 昭夫
  • 発売日: 2001/05/01
  • メディア: 文庫
 

船橋洋一先生から『フクシマ戦記』(上)(下)を頂きました。ありがとうございます。副題は「10年後の「カウントダウン・メルトダウン」」ということで,2012年に出版された『カウントダウン・メルトダウン』を下敷きに,その後に明らかになった事実を踏まえて2011年3月11日からの原発対応を再構成したドキュメンタリーです。民間の原発事故調を組織し,その後も長きにわたって原発問題をはじめコロナウイルス対応も含めた危機管理について探求している船橋先生ならではの筆致で,大震災・原発事故から10年で改めて広く読まれるべき本だと思います。なお,船橋先生率いるアジア・パシフィック・イニシアティブでは,10年を経て再検証の報告書も出版されています。 

 最後に,東北大学の青木栄一先生から『文部科学省』をいただきました。ありがとうございます。感想については先日ツイッターに書いた通りですが,ナカノヒトでもあった著者が文部科学省という役所について,組織として想像力が十分ではないために,争点についてどこか他人事で,常にその場しのぎの撤退戦となってしまう様子を描写してると思います。文科省が現状維持の撤退戦をしてる一方で,教育の「政治的中立」を叫ぶだけで,資源獲得のために連合を組まない小中高大をはじめとする学校が,閉じた世界での競争に熱中する,という構図があるために,官邸や財務省など他の主体が文科省による競争の管理を通じた「間接統治」を容易にさせている,という見立ては非常に興味深いものだと感じました。この状態は,競争させられてる関係者にとっては辛いわけですが,じゃあみんなで協力して社会に納得を求めて運動しよう,とやったとき,全く納得が得られなくて逆に取り潰しにあってしまうようなリスクが怖いというのはあるように思います。それをうまくやってくれる政治家・政党を待ち続ける,という話なのかもしれませんが,そんな日が来るというのはあまりに楽観的な気もします。

個人的には,以下のところを面白く読みました。その通りだと思うんですが,ただそうすると文科省が社会的な変化に応じて政治連合を作り直すのはなかなか難しい気がします。本書でも書かれているようにインパクトの大きかった科学技術庁との統合を踏まえたうえで,うまく「アイデンティティそのもの」になる政策を新しく作るんじゃないか,という気はします。まあそんなん無理やん,っていう話で,結局間接統治が続いたり,政治的にものすごく強い風が吹いて解体しろよ,って話になるのかもしれませんが。

特に義務教育費国庫負担制度は文科省アイデンティティそのものだった。この制度のおかげで文科省は世界に誇る義務教育を実現できたが,その成功体験が文科省を閉じた世界に押し込めてきた。文科省は教育関係者からの支持に安住してきたため,政治家,財界,他分野の利益団体,国民からの支持を調達することを苦手としてきた。国で教育に責任をもつ文科省がこういう状態では,ときどき降ってわいてくる外野からの思いつきの教育改革案に振り回されてしまう。これでは教育政策そのものの不安定化を招いてしまう。

文科省は「三位一体の改革」に直面したとき,一瞬ではあれ目覚めたのではないだろうか。しかし,負担金の死守に成功した後の動きは伝わってこない。文科省は地方政治家からの支持の調達に駆け回った経験をその後どう生かしているのだろうか。(130ページ)。

 

文部科学省-揺らぐ日本の教育と学術 (中公新書 2635)
 

 

 

 

 

*1:宇野・海部・宮澤と細川・羽田はまとめて,安倍は2回に分けて書かれてます。白鳥さんが書いてるとこですが,派閥のリーダーも務めた宮澤的にはきっと心外でしょうねw

民主主義/権威主義

2020年内は感染症の影響で色んなプロジェクトがストップしてしまったことの反動からか,年末あたりからいろいろと興味深いご著書が出ていて何冊か頂いております。できるだけ紹介させていただきたいのですが,とりあえずその一部を。

10月には宇野重規先生から『民主主義とは何か』を頂いておりました。古代ギリシャ以来2500年の民主主義の歴史を眺めながら民主主義とは何かという問題について説明する,というのはなかなかできる作業ではないと思います。宇野先生のご著書では,元々評判の悪かった民主主義というものがいかにして正統性を獲得し,その基礎付けを得てきたのかということが議論されていきます。多数決か少数派の尊重か,選挙か選挙以外か,制度か理念か,という3つの問いについてもまさに民主主義を考えるときに避けて通れないものですし,ぜひ広く読まれるべきではないかと。ただこういう本て,授業でじっくりやるのも難しいし(教員的に全部カバーしてるわけじゃないので…),とはいえ一人で独学で読むのもいいのかっていう問題があるし,という難しさはあるような気がします。

民主主義とは何か (講談社現代新書)

民主主義とは何か (講談社現代新書)

 

12月には空井護先生から『デモクラシーの整理法』をいただきました。主題としては宇野先生のものと同じだと思いますが,議論の展開はかなり違います。宇野先生は歴史的に議論されていますが,空井先生は理論的にという感じで,かなり独自の用語を用いながらその中で一貫した説明をしようと苦心されているように思います。全体としては,様々な理論を参照しながら,レファレンダムをモデルにする古典デモクラシーと選挙による間接民主制をモデルにする現代デモクラシーを並べつつ,現状において基本的には現代デモクラシーを,重要な問題について古典デモクラシー/レファレンダムを活用する,といった見立てをなされている,という感じでしょうか。個人的にもこの10年くらい大阪での住民投票のようなものと付き合うことになり,レファレンダムについて考え・研究するようになっていて,なんというか直接民主主義と間接民主主義に序列をつけるような発想には違和感を覚えるところがあったので,序列のような問題ではなくてある種向き不向きの問題として考えたうえで,総体としてデモクラシーをどう捉えるかについてのヒントになるのではないかと思います。 

(ちょっと追記3/28)実際,レファレンダムの研究を見ていると,直接民主主義だけでやるべきみたいな研究は(少なくとも最近は)ほとんどなくて,代表民主主義の中でどういうときに直接民主主義の制度を織り込むか,という話になっているように思います。最近の研究だと,かなり直接民主主義をサポートする感じのもので,Matsusaka, John, Let the People Rule: How Direct Democracy Can Meet the Populist Challenge, Princeton Univ. Pressがありますが,この17章はまさにどういうものに直接民主主義の制度を使うか,という話(referendumというよりinitiativeよりの制度を想定していることには注意)。

具体的には,(1)代表が有権者の選好を理解できる(有権者の選好はある程度同質的),(2)代表が利益相反してない,(3)強い利益集団がいない,という条件があればある程度代表民主制で物事を有効に決めることができるけど,そうでない場合は直接民主主義の制度がある程度使えると。ただ何でもいいわけじゃなくて,(1)テーマが技術的でないものNontechnical issue,(2)情報のショートカットが使えること,という条件があれば直接民主主義がよいのではないか,と。その条件を満たさない場合はNo good optionというなかなか辛いもんですが。で,そういう観点から,アメリカの連邦レベルでの任期制限・政府債務・禁煙法・薬価・死刑・移民と貿易・戦争・税・金融政策・銀行規制なんかについて検討してました。難しいけどまあその辺なんだろうなあ,と思ったり。

デモクラシーの整理法 (岩波新書 新赤版 1859)

デモクラシーの整理法 (岩波新書 新赤版 1859)

  • 作者:空井 護
  • 発売日: 2020/12/21
  • メディア: 新書
  

新書ではほかにも民主主義理論に関係する興味深いものが出ています。『リベラルとは何か』は,本当にマジックワードになってる 「リベラル」という概念について歴史的に追いながら検討しています。こういうと思想史を追うイメージですが,どっちかというと本書では実証研究の成果に依拠しながらこの概念について検討するところがあるのが特徴でしょうか。印象としてはもともと経済的左右軸の右側(自由主義)にいたものが,GAL-TAN軸のGAL側のもの(文化的リベラル)として位置付けられるようになった,という理解なんですかね(112ページの図)。ただそうすると経営者的ワークフェアは市場+リベラルではないかという気もするのでもうちょい丁寧に読まないといけない気もしますが。しかしこの辺も「リベラル」のややこしさを端的に示すもののような気がします…。それから『現代民主主義』ですね。こちらは様々な思想家の「民主主義」についての見解を追いながら現代の民主主義について考えていくものです。全体の軸としては,シュンペーター的な選挙民主主義がひとつの参照点になってて,それを説明しながらそれだけではない民主主義のあり方を模索する,という感じでしょうか。僕なんかもたぶんシュンペーター的な民主主義観が染みついているんだと思うのですが,それでも最近はDemocratic innovationに興味を持っているところもあって*1,その源流になるような考え方を勉強できると思いました。 

権威主義』を訳者・解説者の皆さんから頂きました。どうもありがとうございます。『政治学の第一歩』の宣伝でも書いたのですが,新版で一番変えたところのひとつは権威主義の研究でして,この10年~20年の政治学で最も蓄積が増えた分野のひとつだと思います。『政治学の第一歩』のほうには権威主義の専門家がいないのですが(すみません),本書は権威主義の専門家が一般向けに書いた興味深い本を,日本の権威主義の専門家が訳すという非常に素晴らしい企画です。内容は記述統計を使いながら権威主義の特徴や分類を示し,理論的な説明と接合させていくというオーソドックスなものですが,日本ではなんか私たちと違う恐ろしげな独裁国家,みたいな扱いを受けている権威主義体制についてまさに「みんなが知るべきことwhat everyone needs to know」を提供していると思います。とりわけ重要なのは,権威主義における統治の技術というものが向上しているということで,単に強圧的な軍事支配の国というのではなく,人々を抱き込みながらその存続を図るようになっているという事実です。権威主義が崩壊して民主化するというexitが必ずしも実現しない一方で,統治の技術を持った権威主義国が存続するということは,要するに国際社会の中で権威主義国という独自の特徴を持った国が当然に存続するということですから,それは民主主義国にとっても無視できる話ではないということだと思います。 

権威主義:独裁政治の歴史と変貌

権威主義:独裁政治の歴史と変貌

 

 (追記)もう一冊,関係して『政治経済学』を著者の先生方から頂いてました。ありがとうございます。上記『リベラルとは何か』の田中先生はこちらも書いていて,短期間に連続して出版されているわけですが,本書のほうは福祉国家を軸にその多様性や内部での政治的競争や政治制度について扱っています。思想や理論に疎い僕なんかがイメージする現代民主主義といえばむしろこちらを考えてしまうところがあるのですが,まさに戦後の福祉国家を中心とした政治を比較の観点から説明した優れた教科書っていう感じです。前半は福祉国家とその多様性について書かれている近藤先生が別に共著で執筆した『比較福祉国家』の理論部分をより深めた感じでしょうか。後半,矢内先生の分配・不平等・経済成長というテーマと福祉国家の政治についての最新の研究を色々抑えたサーベイはたぶん日本語で類書がほとんどなくて非常に有用。財政政策・金融政策・コーポレートガバナンスの政治経済学のところは,まさにこの分野を開拓してきた上川先生が書かれていて,これもとても勉強になります。特に大学院に入ったくらいでこのあたりの分野の実証研究を色々読んでみたいという人には本当に勉強になるガイドだろうと思いました。 

比較福祉国家: 理論・計量・各国事例

比較福祉国家: 理論・計量・各国事例

 

 

 

*1:まあ結局制度に回収しがちではあるのだと思いますが…。

日本の行政学/地域衰退

授業が落ち着きだいたい採点も終わったと思ったら,それまで先送りにしてた仕事に圧倒される,というのは毎年の二月の光景ですが,今年度はオンライン授業であったことと来年度以降の某業務のためにいつもよりひどい感じに…。来年は大丈夫なんだろうか(というと鬼が笑うのでしょうが)。

少し前に編者の先生方に頂いたのですが,『オーラルヒストリー 日本の行政学』を面白く読みました。お一方ずつすき間時間に読めるので…。Go online!で行政学地方自治の授業を考え直す羽目になったこともあり,微妙に身につまされながら読んだところもありますが。自分の関心に近いところもあり,個人的には特に最後の三先生(水口先生・橋本先生・森田先生)のものを面白く読みました。欧米の研究で議論されている理論や実証の方法というのは意識しながらもやっぱり日本の文脈というのはあって,何というかうまく英語圏の研究に乗らないなあと思うところは昔からあんまり変わんないんだなあ,というか。たぶん実務的な話とかかわってくるときにそういう齟齬みたいなものが大きくなってくるような気がします。うまく埋められるといいのだけど,そのためには英語でそういう文脈を意識的に作らないといけないんでしょうね,と思ったり。 

オーラルヒストリー 日本の行政学

オーラルヒストリー 日本の行政学

  • 発売日: 2020/12/01
  • メディア: 単行本
 

 オーラルヒストリーの最後で語られている森田先生は,特に財政的分権について議論された地方分権推進会議に委員としてかかわって,いろいろご苦労された話も書かれています。この会議でまとまらなかった財政的分権は,最終的に三位一体改革として実現し,主に国庫負担金からの税源移譲が実現するわけですが,その後自治体間の財政格差が広がっていくということがしばしば指摘されています*1。宮﨑雅人先生に頂いた『地域衰退』は,そういった格差の拡大の果てに,言わばもう回復が難しいくらいに衰退してしまう「地域」について議論したものです。主に農村部を中心に議論されていますが,製造業・建設業のような地域における基幹的な産業を失ってしまうことで衰退に歯止めがかからず,それを合併のような「規模の経済」による解決で食い止めることは難しい,と。観光や福祉・介護などを含めたサービス業が一挙に基幹産業となって地域を支えるが難しい,というのは少し文脈が違いますが,以前に読んだダニ・ロドリックの国際貿易における議論-開発途上国における一足飛びのサービス業化のためにいわゆる南北格差の解消がより困難になる-を思い起こすところがありました。 

地域衰退 (岩波新書 新赤版 1864)

地域衰退 (岩波新書 新赤版 1864)

  • 作者:宮崎 雅人
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: 新書
 
貿易戦争の政治経済学:資本主義を再構築する
 

*1:もちろん,森田先生が指摘されているように,財政調整制度を整理することなしに税源移譲すれば当然の帰結ではあるわけですが。