最近は地方分権改革推進委員会のネタばっかりだなぁ,と思ってたらひとつ発見。これは朝日新聞の記事より。一応政策投資銀行のサイトも見てみましたが,どうやらそれらしいものはまだあまり発表されていない様子。ひとつ近いものがありましたが,これには朝日が引用したデータは載っておらず,たぶん別のものがそのうちアップロードされるんでしょう。

自治体病院に勤める医師の給与は都道府県によって2倍の開きがあることが、日本政策投資銀行の調べでわかった。北海道や東北を中心に医師不足が深刻な地域ほど給与は高い傾向があり、自治体が「高給」で医師をつなぎとめている実態が浮きぼりになった。
総務省がまとめた04年度の地方公営企業年鑑をもとに、同銀行が全国1000の自治体病院都道府県立、市町村立、一部事務組合立)の経営を分析した。
常勤医の給与(時間外、期末手当などを含む)の全国平均は、年額換算で1598万円(平均年齢42歳)。都道府県別では北海道の2301万円が最高で、最低は奈良県の1132万円だった。岩手、宮城など東北各県は軒並み高水準なのに対し、西日本は全般的に低く、神奈川や東京、大阪など大都市部も低かった。
格差の背景には医師の偏在問題がある。給与の上位10道県はベッド100床あたりの医師数が平均9.4人。一方、下位10都府県は12.3人で、給与が高い地域は医師が少ない傾向があった。

医師確保へ苦心の高給 自治体病院2倍の差 政投銀調べ
この記事についてはこちらも。
医師にとってあまり人気のない地域では給与を上げざるを得ない,ということなのでしょう。僕が読んだ感じではそれはまあ自然(というかやむをえない)なことで,「けしからん」という印象は受けなかったのですが。
の記事ではかなりすさまじい事例が紹介されています。

全国でもっとも給与が高かった病院は、北海道北部の幌延町立病院(6科36床)の4586万円。町内唯一の病院で、ただ1人の常勤医である院長が日中の勤務に加え、平日は毎晩当直についているという。同病院は「町の財政は厳しいが、地域の医療を守るためにはこの待遇もやむをえない」と説明する。

町の財政もそうですが,この医師の健康というのはどう考えても確保されないように思われるのですが…。というか,この町立病院ではいわゆる一次医療以上の医療サービスが提供されることになるんだろうか。具体的な話を調べていないのでなんとも言えないのですが。

もうひとつ,これは前にNTVドキュメントでもやってた話ですが,尾鷲の産婦人科医師はやっぱり厳しすぎたらしい…。あのドキュメンタリーによると,議会はこれでも給与が高すぎる,として反発したそうですが…。

だが、過疎地の医師不足に歯止めはかからず、給与による医師確保は必ずしも功を奏しているとはいえない。たとえば三重県尾鷲市の市立尾鷲総合病院は、05年に年収5520万円で産婦人科医を雇った。しかし医師は院内に寝泊まりしながら年に数日しか休日がとれず、1年後に退職した。

もちろん人件費の高騰は公営企業の財政を圧迫することになるので,各自治体はこれ以上人件費を増やせない,ということになるのでしょう。そうするとひとつの選択肢としては統廃合・一部事務組合化,ということになるのかなぁ。ていうか,よく考えたら市町村合併をしてるところでは統廃合が自然と(?)行われていることになると思うわけですが,そのあたりでは病院運営方法に変化があるのだろうか。変わった例もあるようですが。