雑感

ダブル選挙雑感

2011年に続く2015年の大阪ダブル選挙は,前回と同様に大阪維新の会の勝利に終わった。まだ選挙区別のデータとかをちゃんと確認していないけど,現時点での雑感を簡単にメモ。 まず前回と比べて投票率は10ポイントくらい落ちているが,西成区を除くと得票比は…

違憲審査の方法

午前中,@lawkus さんなどにコメント頂きながら少し考えたのを備忘のために整理。スタートは東京新聞の記事,「「安保」契機に民主が新制度検討 法案の違憲審査 最高裁に要請を」で,メインはたぶん「新制度案は、政府、国会が、法案や国家の行為の憲法適否…

現代日本における都市メカニズム

大阪大学の人間科学研究科での博士論文をもとにした著書。非常に筋がクリアなので某学会に向かう電車やスキマ時間(!?)などで一気に読めてとても勉強になった。主張は極めて明確で、日本でも繰り返し語られてきた「都市=つながりの失われた場所」という…

投資社会の勃興

オビや冒頭を読んで、自分の研究にもいろいろ示唆があるんじゃないかと思って読んでみた。非常に面白かったし勉強になったと思う。ただもうちょっと公債のしくみとか具体的な説明があった方が読みやすかったような気がしたが(とはいえ今でも十分長いので、…

特別区と区長

2014年末に、突然公明党が方針を転換して大阪都構想の法定協議会・協定書に賛成し、住民投票が行われる方向で話が進むことになった。公明党は「住民投票の実施に賛成」であって協定書には賛成ではないとしているのだろうが、彼ら自身も重視していたはずの大…

今年の◯冊(2014年)

恒例でやっております今年の○冊の季節になりました。2010年からやってるので5回目になりますね。年々しんどくなってく気がしますが、このコーナーだけは読んでくださる方がどうもいるようなので、気力の限りは続けていきたいと思っております。とはいえ、在…

『失われた民主主義』

ちょっと仕事の関係でシーダ・スコッチポル『失われた民主主義−メンバーシップからマネジメントへ』を読んでいたのだが、今回の選挙を意識しながら読むとなかなか趣深い本であるように思われる。本書は、アメリカの建国以来地域的なボランティア団体/結社が…

なぜ政治学を学ぶのか

最近、共著で大学入学後に初めて学ぶような人を想定した政治学の教科書を書き、二年次配当の政治学原論を講義し、TwitterではG型L型大学とかそういう話が流れてくると、やはりなんで政治学なんて勉強しないといけないのか、ということを考えなおすことになる…

『市民を雇わない国家』

東京大学の前田健太郎先生の博士論文。非常に勉強になった。基本的には日本を中心とした丁寧な事例研究を通じて、公務員の数がどのように決まっているのかという問題を議論するもの。最後のところでは、計量分析の成功研究についての再現を使った分析をして…

『政党内閣制の展開と崩壊 1927〜36年』

以前紹介した村井良太先生の本のいわば「続編」。あとがきを読むと、もともと一本の博士論文として構想・執筆されていたものであったのに、大幅に加筆修正して二本目を送り出されたとのこと。サントリー学芸賞をとった一作目も面白いが、最近政党に対して個…

学長選挙

どうでもいい雑感なのだが、備忘のためのメモ。 今日、ちょっと某雑談中に学長ってどうやって選べばいいんだろう、という話が出てきた。学長は、というよりも専門家を選ぶのって言うのはなかなか難しい。企業経営者などにも通じる問題ではないだろうか、とい…

アカウンタビリティと説明責任

ちょっと先に人前でしゃべる仕事があり、「アカウンタビリティ」概念を軸に話をしようと思っていたが、どうもこの概念は一般にきちんと理解されているとはいえないと思われる。そこで、日本で「アカウンタビリティ」という言葉がどう使われてきたか、という…

大学における民主性と専門性

(大阪市立大学法学部法律相談所の『知法会誌』に書いた記事です。市大法学部では、法律相談所の学生のみなさんがこういう雑誌を定期的に発行していて、教員も簡単なエッセイを寄せるということが行われています。私が書いたのは初めてだったのですが、〆切…

決め方が決まってないことをどう決めるか

橋下徹大阪市長の突然に辞任が話題になっており、これはまさに地方政治としてものを決める制度の様々な不備を明らかにしているところだと思われる。地方の選挙制度や「二元代表制」といったものの問題は別稿に譲るとして、とりあえず大阪都構想を検討する法…

府県・政令市・特別区

政令市、現在の区を「総合区」に 役割強化で法改正へ 政令指定都市の行政区の役割を強化する地方自治法改正案の概要が19日、分かった。現在は窓口業務が中心の各区を「総合区」に格上げして予算編成や人事権の一部を持たせるほか、道府県と政令市の仕事の…

特定秘密保護における第三者機関の独立性

現在参議院で議論になっている特定秘密保護法案で、「第三者機関」の設置が議論になっている。法案の修正過程でその設置検討が付則に盛り込まれたということ。 特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化相は2日の参院国家安全保障特別委員会で、行政機関の長…

境界を設定すること

ちょっと前に松沢裕作先生の『町村合併が生まれた日本近代』を読んだ。以下これに関連して考えたことをつらつらと備忘のため。本書については、実のところはじめは明治の大合併においてどのような町村合併が行われてきたのかを分析するものだと思ったんだけ…

神戸市長選挙と選挙管理−自書式は止めるべき

神戸市長選挙が終わり、総務省の行政局長経験者が副市長を経て市長になることになった。同じ日に行われた川崎市長選挙でも、比較的年若の総務省元官僚が立候補していて、ともに自公民の相乗りとして擁立され、前回選挙で次点だった候補と競うことになり、こ…

ルポ 虐待

発覚した時から気になっていた事件でもあり、一気に読んでしまった。一応幼い子持ちの父親としてはかなりしんどいところがあり、読後感は相当苦い。事件が報道されている時から被告となった母親−判決が確定しているから受刑者というべきか−を社会的に責める…

大都市制度と地方分権

総務省の地財審(地方財政審議会)の報告書案が出るそうで、それに関してちょっと備忘のためのメモ。報道によれば*1消費増税にあわせて、市町村間の格差を縮めるために、法人住民税の一部を国がいったん集め、地方交付税として税収の少ない自治体に配りなお…

マンション管理

お盆の週は東京の妻実家に帰省(寄生!?)中。帰省のために夜中に飲み歩くこともなく、昼間は子どもを連れて出歩いてるのでまあそれなりに健康的な生活ではあるのだけども、子どもと一緒に夕食のあとすぐに寝てしまうことが多くなるのでこれは体に悪いような…

岐阜

連休中に突然思い立って養老天命反転地へ。養老公園の中に設置されている施設なわけですが、養老公園は養老天命反転地以外にも岐阜こどもの国をはじめとした大きな公園になっていたので、結局連休最後の二日間はここへ。まあ家からそこそこ時間がかかるわけ…

鳥取

鳥取自動車道が3月23日に全線開通したので鳥取に行ってみた。中国自動車道で佐用JCTから鳥取自動車道に乗って向かえば、大阪から2時間半もかからないくらいで鳥取まで行くことができる。鳥取自動車道開通の話は、ゼミの学生さんが論文のテーマに選んでいたこ…

保育と政治

少し前に、杉並区で認可保育園に入れなかった幼児を持つ母親たちがデモを行った(いわゆる「保活デモ」)というニュースを見て、何らかのかたちでまとめておきたいと思いつつ、問題が多岐にわたりすぎるので全然進まないのだが、少し時間がとれたので一応現…

地方公務員給与削減

2013年度の予算が閣議決定されて、来年度の地方公務員の給与が削減されることになったようです。ツイッターでぼそぼそと呟いていたのですが、話が面倒で混乱しやすいので、こちらにまとめておこうと。私自身の生活にも影響はある可能性は高いですし(←変な表…

多数決と法の支配

12月16日の選挙結果は、自民党と公明党が合計で320議席を超える大勝となった。自民党総裁が、以前から「戦後レジームからの脱却」と言ったり、改憲志向が強いということが指摘されていたが、今回はまず憲法96条の改正に意欲を示しているということで、この点…

国際秩序

拙著と同じタイミングで商業的なライバルとして刊行された中公新書。まあ気が小さいもので自分の本の売れ行きをたまにチェックしてしまうわけですが、著者の知名度からすれば当然のことですが本書の方がよく売れていて、やや専門が違うのですがどういう感じ…

選挙運動

今回の選挙は、インターネット上の「選挙運動」をめぐって議論がさまざま出ているようですが、じゃあその選挙運動ってなんなの?というとあんまり中身が知られていないような気がします。というか、もともとその定義自体相当怪しいものがあります。 まず基本…

解散するのか…?

年内解散がしばしば報道されるようになり、総理が16日解散と言ったという話になっているが、ここで解散するとしたら、民主党は政権交代で民主主義の可能性を見せつけて、解散でその可能性を否定しようとしているようにも見える。独立した司法の強い要請を無…

青い春

最近、子どももちょっと大きくなってきて、車に乗っている時にラジオを聞き流していることが多い*1。とはいえ聞いてはいるものの、日本の歌って基本的に甘い恋愛以外はテーマにならないんだなあ、とおっさんじみた感想しかもちようがない。どうでもいいのだ…