『中国化する日本』

與那覇さんに頂いた本だが,これは非常に面白かった。部分部分については,専門家ではないので議論の実証的な妥当性については評価できないけれども*1,おもに「近世」から現代にかけての日本通史を,「中国化」「江戸時代化」というキーワードで整理し,現…

教科書+α

この間いくつか本をご恵贈いただいておりました。3つとも,「教科書」のような,でも今までの教科書とはちょっと違うところを目指しているような本ではないかと思います。 まず,ずいぶん遅くなってしまったのですが,伊藤修一郎先生から『政策リサーチ入門…

都制・特別市制−リバイバル

備忘のためですが,以下は大阪府地方自治研究会の名前で出された『都制か特別市制かの問題』という冊子に記載された,1950年の大阪都制論。戦前から続く大阪市による特別市制の導入という主張に対する反論として用意されたものらしい。しかし,もうびっくり…

体制維新

前回のエントリは今までだらだらとブログを書いてきた中では圧倒的なアクセスを頂きました。はてなってブックマークによって読まれてる記事にポジティブ・フィードバックがかかるしくみになってるんですね。今回は前回の補足のような話。まあセンシティブな…

制度発展と政策アイディア

立命館大学の佐々田博教先生から頂きました。どうもありがとうございます。頂いてちょっと読み始めたら,文章も読みやすくて面白かったので,最後まで読ませて頂きました。 議論されている内容は,日本の開発主義的な体制・制度というものがどのような起源を…

財政調整制度下の地方財政

西川雅史先生の新著。やっと時間がとれたので,まとめて読んでみた。基本的にこれまでに書かれてきた論文を再構成して本にしたという感じで,保険料/保険税の選択とか以前に興味深く読んだものをもう一度読み直すことができた。 内容は,マクロの地方財政制…

新自由主義と政治(つづき)

またもやフリードマンの議論から.まあ前の続きなわけだが.しかし最近こういう書き方でしかブログを更新できないのは情けないな.ちょっとまとまってものを考える時間を取らないと. 政府の施策が持つ重大な欠陥は,公共の利益と称するものを追求するために…

新自由主義と政治

言わずと知れたミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』.しばしば,彼の「新自由主義」のイデオロギーを信奉する人たちにとっては聖典のようなものだとして扱われる.しかし,改めて読んでみると,その中に政治についての興味深い一節がある.ちょっと…

民主党の組織と政策 ほか

堤英敬先生,森道哉先生,濱本真輔先生から『民主党の組織と政策−結党から政権交代まで』をいただきました.ありがとうございます. よく考えたら,これまで研究者の手による民主党研究ってほとんど出てなかったんですよねー.この前の政権交代選挙を中心に…

民主党政権への伏流

政治家だけではなく,いわば「裏方」として初期の民主党に至る道筋をつけてきた人たちを追っているということで,読むまでに知らなかった人たちの話も多い.断片的に読んでいたので,読み終わるまでにえらく時間がかかってしまったが,これは非常に面白かっ…

「フクシマ」論

というわけで,「フクシマ」論について。他のところの評価でも出ているところだが,歴史や地元の様子をしつこく書いてる3章・4章が読ませるし,非常に興味深かった。逆に言うと,5章・6章がやや残念というか,微妙な一般化っぽい議論が乱暴な感じがする。地…

戦争指導と政党政治

以前から政治史ものを読むのがほとんど趣味のようにやってきたが(書いて貢献できないし),最近は学部1年生のゼミで『失敗の本質』を読んだこともあって,電車の中の読書は戦前の政治,とりわけ戦争関係のものが多い。特に,比較的年齢の近いお二人の書いた…

人事いろいろ

電車の中で読むように,なんとなく『東電帝国−その失敗の本質』を買って,あんまり期待せずに読み始めてみたのだけども,これは結構面白かった。ところどころで筆者の自慢話みたいなのが出てくるのはまあちょっとご愛嬌だが。面白いと思ったのは,たぶんあん…

本を生み出す力

これは面白かった。この本で議論されているような話は,常に断片的に耳にしているし,僕自身が事例研究の対象のひとつである有斐閣から本を出していただいていること,またしばしば言及される社会学の研究者や本についてそこそこディレッタント的な知識があ…

若き実力者たち

沢木耕太郎のデビュー直後のルポ(っていうのかな?)の新装版が出ていたので,何となく購入。単行本としてははじめてのものだったらしい。何より驚くのは,25歳のときに,周辺取材も含めてこれだけの人たちにインタビューして,毎月一本いわば簡易ライフヒ…

首長たちの革命

何となく本屋で目にして,著者の前著*1が興味深かったこともあり,『首長たちの革命』を読んでみた。この本は,主に河村たかし,竹原信一という二人の地方自治を賑わす市長に焦点を当て,関係者へのインタビューをもとに人物像を描き出すというものになって…

3月−4月に頂いた本

新学期の準備や自分の著書の関係で,この間慌ただしくしていたために,なかなか頂いていた本の紹介ができませんでした。3月から4月にかけて,ふだんよりも結構たくさんの本を頂戴しておりました。昨年の終わりにも書きましたが,出版不況と言われているにも…

ストーリーとしての競争戦略

専門書がベストセラーとして話題になっている本。最近体調を崩してどうも頭が動かないので,療養がてら読んでみたのだけども,これはたしかに面白かった。だいたいはじめのところで,研究者が実務家に話をする意義,というのが共感できる。本書の場合には,…

今年の○冊

もう2010年も暮れようとしていて,最近はTwitterに押されつつあるブログ界隈でも,いろいろと「今年の○冊」という紹介が多くて,興味深く読んでいるところです。僕も「今年の○冊」をやろうかなぁ,とも思ったのですが,読んでる本の範囲があまりに狭すぎて面…

公共政策学の基礎/連邦制入門

著者の先生方から頂きました。ありがとうございます。僕自身は講義の経験ないですが,しばしば公共政策学(論)を講義するとき,政策過程に関する知識と政策そのものについての知識の区別が難しいと言われることが多いです。この点について,この本では,ア…

公共経済学

著者の先生方に頂きました。どうもありがとうございます。公共経済学の教科書というと,中央政府レベルでの議論が多いという印象があったのですが,この本は,著者の先生方が地方財政や社会保障の分野に精通されていることもあり,その辺りの分野が多めの記…

宣伝

約一月前になってしまうのですが,以前にNHKで放送された「再生の町」の菱田信也さんによるノベライズがTAC出版から出版され,大学院時代の先輩が編集をされているご縁で,その解説を書かせていただきました。またこのブログみたいに「硬いよ」と言われてご…

いただきもの

『政権交代選挙の政治学』を香川大学の堤英敬先生と立命館大学の森道哉先生に頂きました。ありがとうございます。地方政治も含めた個別選挙区の事情に留意しながら2009年の政権交代選挙の全容を描き出す,という試みは非常に興味深く,自分の研究にもつなが…

いただきもの

河村和徳先生に,『市町村合併をめぐる政治意識と地方選挙』を頂きました。ありがとうございます。 合併ネタは,本当に事例が多様で読んでいてあきないところです。これからたくさんの研究が出ることになると思いますが(僕もやるかもしれませんし),そのキ…

いただきもの

結構前になりますが,上川龍之進先生から,『小泉改革の政治学』を頂いておりました。ありがとうございます。本書では,小泉改革の時代において,「マクロ」の構造改革が進展する一方で,「ミクロ」の構造改革は進んでいないという問題意識のベースにした議…

病院ビジネス

実に久しぶりの更新。結局9月は一回も更新できなかった…のですが,その間日本政治学会の論文の執筆と,来年に予定されている博士論文をもとにした著書の準備を中心に行っておりました。夏休みといって決して仕事をしてなかったわけではないので(汗)そちら…

いただきもの

御厨貴先生から『権力の館を歩く』を頂きました。ありがとうございます。毎日新聞の連載をまとめられたもので,連載中からいつか本になるのかと楽しみにしていたものです。 最近の社会学での「環境管理型権力」の議論とか,アーキテクチャへの注目にもあるよ…

知事とメディア

ずっと地方分権改革推進委員会を観察してきたこのブログも,最近は大阪府政・大阪市政を観察することがほとんど。そういうこともあって前にちらっと読んでた橋下知事についての本を改めて読んでみた。橋下徹研究作者: 産経新聞大阪本社社会部取材班出版社/メ…

道路

自分に男の子ができてから,周りの方々に,だいたい電車か車のどっちかを好きになるから,とは言われているものの,僕自身はどっちもそれほど好きではないのでどうなるんだろうと思うところ。最近,じゃあ自分は何が好きなんだろう,と考えていると,電車や…

いただきもの

少し前にいただいていたのですが,お礼が遅くなりました。神戸学院大学の南島先生と法政大学の西山先生に頂きました。いつもありがとうございます。「評価」についてはこの15年くらい熱心な議論が行われてきましたが(僕も論文書いたことありますし(^^;)),…